要約
高配当株がNY市場で人気化している
バーゼルⅢで銀行は増配が可能に
マイクロソフトが増配する可能性を示唆


米国の投資家は配当利回りに注目しています。

レーバーディ明けは米国の投資家が腕まくりをして仕事に真面目に取り組み始める週です。
従ってこの時期のマーケットの新しい動きには注意を払う必要があります。

これまでのところで明らかなことは米国の投資家は高配当企業の株を積極的に買っているということです。

先週の立ち合いでは現在の高配当セクターの代表である通信と薬品が値を飛ばしました

また今日になって2つの新しい展開がありました。


それは先ず(銀行セクターが今後増配するのではないか?)という観測が俄かに高まっているという点です。

先週末、バーゼル委員会が銀行資本規制に関する新しいガイドラインを示しました。俗に言う「バーゼルⅢ」というヤツです。

この新ガイドラインで明らかな事は米銀の大半は既にこの自己資本基準を楽勝でクリアしているということです。

米国の銀行監督当局はこれまで米銀の増配に関してはどちらかというと「遠慮したまえ」という感じで勝手に増資できない雰囲気でした。

これはどうしてかというと住宅ローン絡みの損がどれだけ膨らむかわからないし、バーゼルⅢの行方が不透明だったからです。

しかし住宅ローン遅滞トレンドは比較的安定化してきているし先週末のバーゼルの発表で自己資本比率を巡る不透明感も払拭されました。

現在、米銀はスズメの涙程度しか配当を払っていません。

サイクルのほぼボトムで、今後、クレジット・クウォリティーは改善が見込まれるわけですから今すぐに増配ということにならないまでも少なくとも方向性としては折り返し地点に到達した、、、そういう認識が出たのが今日、銀行株が急騰した理由です。

もうひとつ重要な動きが今日ありました。

それはマイクロソフトが増配をするために社債を発行する計画を持っているということが報道された事です。

(配当を出すのに、社債の発行が必要なの?)

そう怪訝に思う読者も居るかもしれません。
普通なら、その考えは正しいです。
本来、配当は利益から払うべきで、借金までして払うべきものではありません。

しかしマイクロソフトの場合、海外に留め置かれている利益が沢山あるため、米国内の銀行口座と海外口座の残高のミスマッチがあります。

本来同社はガンガン儲かっているわけですから、配当原資が無いということではぜんぜんありません。配当は出そうと思えば幾らでも出せるのです。ただ、配当を出すということになるとドルで出さないといけないので、それならその分はドル建て債を出して工面しようという話だと思います。だからこれは所謂、「タコ配」とは違います。
MSFT

「マイクロソフトが増配する」という噂が出ると同社株は急騰しました。また他のハイテク株で増配余力があるところは軒並みアップティックしました。

そりゃそうです。

いま、アメリカのハイテク株はどこもガンガンに儲かっているわけですから、その気になれば増配くらい朝飯前なのです。

それではなぜこれまでハイテク企業が増配してこなかったかというと、「増配は株主への利益還元の手法として余り効率的でない」(二重課税の問題などによります)というセオリーが広く信じられてきたからです。

でもアメリカの経営者は株価のテコ入れになる事なら何でもします。特にライバルの企業がやっているのに「ウチはなぜやらないのか?」という状況になるのを極めて嫌います。株主に対する説明が立たないからです。

だから「増配の材料で株が騰がる」というのが株式市場でテーマになれば、ハイテク企業の経営者はホイホイ増配するでしょう。

株主の立場からすれば先のヒューレット・パッカード(ティッカー:HPQ)によるスリー・パー(ティッカー:PAR)の買収のように、アフォな値段で高い買い物をされるのが一番嫌です。「そんな事するくらいなら、配当払ってよ!」というわけです。

このように増配可能性という点が相場のひとつの切り口になる気運が高まっているわけです。