米国の機関投資家は今回の選挙結果を「日本がいままでの路線の継続という消極的な道を選んだ」と捉えています。

これは或る意味でdepressing(陰鬱)な出来事だと思います。

たとえばブラジルのように経済運営に成功している国が現状維持を願うのは頷けます。

しかし日本の場合、決して現在の方向性が好ましいから現状維持が望まれているわけではないと思うのです。

いや、それどころか現在の日本の進路は必ず破局に向かう進路です。


日本の税収は1990年頃を境に頭打ちになっています。

その一方で支出は依然、拡大基調にあり、教育費や国債の利払いなど、所謂、ノン・ディスクレッショナリーな支出すら税収でカバー出来ていない状況です。

65歳以上の人口を総労働人口で割り算した数字は1995年には約15%でしたが、現在は22%に達しています。つまり高齢化はどんどん進んでいるわけです。老人が増えるとかれらの面倒をみるための政府支出は増える一方で税収は頭打ちが続きます。

IMFの予想では2015年までに日本の政府負債(グロス・ベース)は日本の家計資産(グロス・ベース)を上回ると言われています。つまり日本国民の「一手買い」で現在の国債市場を買い支えるのはムリなのです。

でもガイジン投資家の目から見れば日本国債の利回りは長期的リスクが価格にちゃんと反映されていないので食指が動きません。

プロの投資家の世界では極端に偏った手口というのは「Big No No.」です。

日本の公的年金はポートフォリオ中の日本国債の割合(ピーク時は資産の約45%)を最近、意図的に引き下げ始めています。つまり「足抜き」をはじめているわけです。

現在ですら税収の43%が右から左に国債の利払いに回している状況なのに、これでチョッとでも国債に対する不安が出て、借金の借り換えコストが上昇でもしたら、国民に対するベーシックなサービスを維持するために回せるお金が無くなってしまいます。

上のような議論(データ出典はいずれもソシエテ・ジェネラル)は欧米ではごく常識的な観察です。

いまギリシャやスペインでは入札があるたびに「今回のビット・カバレッジは何倍だった」とか、そんな風に皆、固唾を呑んで借金の借り換えの様子を見守っています。

でもそういう緊張感は日本にはありません。

日本中がコンプレーセンシー(慢心)にどっぷり浸っているのです。