アイルランドの第2四半期GDPは市場関係者の予想に反して-1.2%と悪かったです。

これを見てこれまでPIIGS諸国(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)に早急で断固とした財政規律を求めていた市場関係者は言葉を失っています。

なぜならアイルランドは「辛い改革を断行しており、がんばっている」と称賛される、模範生徒だったからです。

(いま世界の景気がこんなに悪い時にマジに本気出して財政改革しても一層景気は悪くなるばかりだ。だいいち「改革しろ!」と要求した市場関係者たち本人がアイルランドのがんばりをちゃんと評価してあげてないのは、一体、どーして?)

そういう恨み節めいた声が聞こえてきているわけです。

実際、このところアイルランドのCDS(デフォルト保険の保険料)は急騰しています。

またアイルランド国債の金利とドイツ国債(ブンズ)の金利格差は拡大しています。

このことはアイルランドが借金する際のコストがどんどん増えていることを意味するのです。

アイルランドは欧州各国の中で最初に財政赤字の立て直しに着手した国です。

増税、公務員給与のカット、社会福祉の削減などを実行しました。
財政赤字

これらの一連の迅速な措置を講じたことにより一旦は市場参加者の信頼は戻ったかのように思われました。

輸出パフォーマンスも瞬間的には盛り返しました。このため経常収支はトントンまで戻っています。
経常収支

しかし失業率は13%近くあり、高止まりの様子を見せています。
失業率

アイルランドの金融市場は比較的オープンであるため外的なショックを受けやすいです。

第1四半期のGDP成長率は良かったです。しかし今回、第2四半期のGDP成長の数字が悪かったことでコンフィデンスが一気に崩れたと言えます。
GDP成長率


過去においてもアイルランドは輸出の伸長に支えられたGDPの急成長の後で、その揺れ戻しがあり、GDPが鈍化するということはありました。だから今回の改革が失敗したと断定するのはまだ早い気もします。


アイルランドの場合、ブーム時代に賃金が高くなりすぎたし、不動産バブルの後遺症をまだ引きずっています。これまでの物価水準が高すぎたので当面のデフレ圧力は仕方ないです。
インフレ率

特に問題になっているのは不動産バブルの処理です。
いまのところアイルランド政府は銀行セクターを支援しています。
具体的にはAIBの25億ユーロにのぼる劣後債に対して政府のギャランティを提供しています。
しかしこのギャランティが背に腹はかえられず取り払われる可能性があります。

すると銀行債の借り換えが出来なくなる可能性があるのです。

アイルランドの債券やCDSの実際の取引高は極めて少ないです。別の言い方をすれば手替わりが無いままに気配だけが上がったり下がったりしているわけです。

アイルランドにこれから起こることはギリシャやスペインなど他の国の関係者も息を詰めて観察していることでしょう。