先日ブラジルのマンテガ財務相が「世界は通貨戦争に突入している」と発言し注目を浴びました。

ここでの通貨戦争とは各国の政府がわざと自国の通貨を割安に導く競争のことを指します。

その代表格がアメリカのFRBで、このところあからさまなドル安政策を敷いています。また欧州各国も今年の前半、意図的なユーロ安戦略を仕掛けました。加えて中国が人民元を不当に割安に維持していることは広く知られています。

今回、日本政府・日銀が円売り介入したことで世界の主要プレーヤーは揃い踏みした格好になりました。

このような自国通貨のディベーシングは世界的不景気の状況下では過去にも用いられた経緯があります。そして世界中の通貨の価値が毀損される過程では相対的にゴールドの価値が上昇したのです。

そのような遠い昔の記憶もあり、ゴールド価格はついに1300ドルに乗せています。

このような説明をすると「ゴールドが騰がっているのはETFなどのお手軽な投資機会が増えたからだ」と主張する人に必ず出くわします。そして「ゴールドETFの中には現引きができないものもあるし、監査権が無い」という批判が出てきます。

これに対する僕の考えはこうです。

ゴールドのETFが最初に考案された当時、ゴールドは今のようなブームではなかったし、ゴールドETFのファンド規模(純資産)も小さかったです。

だからゴールドETFが「約束を守れないかもしれない」と疑ってかかるような動機がスポンサーの側にそもそも無かったし、必要となればフィジカル(現物)のゴールドの辻褄を合せるのは簡単でした。

むしろ、1.個人ではなかなか金の延べ棒は保管場所に困る、2.手軽な投資サイズで買えない、など「不便さ」が大きな障害となっており、それを株式投資口座で簡単に買えるようにしたETFの利便性はデメリットを圧倒的に上回っていたと思います。(GLDの時価総額530億ドルまで膨らんだ事がなによりも世間のニーズが存在したことを如実に示しています。)

さて、そういうわけで「お手軽な」ゴールド投資は今、とてもポピュラーになっており、少し気のきいた投資家なら誰でもGLDくらい持っています。

でも敢えて言えばゴールドのETFという投資方法は少しポピュラー過ぎるのが心配です。

だから逆にこれからはETFの持つ利便性より確実性や安全性を重視した投資ストラテジーに移らないといけない時が来たと思うのです。言いかえれば通貨戦争が本当に醜悪な展開になるのなら、そろそろ堅い方法へシフトすべきだと言うことです。
ゴールド


僕の考える最も堅い方法は金の延べ棒そのものを買うことだと思います。でもそれだと予算の問題や保管料の問題があるので金融商品の中でETFよりデリバリーの面で確実性の高いものとなるとコモディティ・フューチャーズ(商品先物)の方が決済義務があるので取引システムとしては信頼が置けます。

これは「ETFが駄目だ」と言っているのではなく、ETFは未だ歴史が浅いので突発的な状態で商品の仕組みが耐えられるか未知の部分があると言いたいのです

それからこれは昔から言っていることですが「古き良き金鉱株」に投資するという方法は極めて軽視されていることをつけ加えておきます。

産金会社の中には100年近くも操業している老舗もあるし、それだけの期間に渡ってずっと金を生産し続けてきた実績があるわけです。

また産金会社の業績は金価格が上昇するとそれ以上に上昇するのが一般的です。

このことから昔なら金価格の上昇より産金会社の株価の上昇率の方が大きかったところです。(逆に金価格が下落する局面では産金会社の下げの方がキツイです。)

しかし今回のサイクルではこのような産金株のアウトパフォーマンスは見られていません。
その一因が手軽にゴールドの値動きに参加できるゴールドETFにみんな流れてしまっており、じっくり個別の金鉱株を研究するという職人芸が朽ちているからです。

みんながお手軽な方向へ流れているときこそ「硬派」なアプローチを選ぶべきである事は言うまでもありません。