スペインが昨日からゼネストに入っています。

スペインのゼネストは8年ぶりで同国の鉄鋼、自動車産業を代表する労組をはじめ地方公務員の一部もストに入っていますが、いまのところ大きな混乱には至っていません。

スペイン政府は財政赤字の立て直しのため、現在、GDPの6%程度ある財政赤字を向こう2年で欧州連合の規定であるGDPの3%以内に削減する予算を既に発表しています。

しかし8月くらいから一度中断が決まった公共工事を復活させる動きも出ています。つまり既に発表した赤字削減案を反故にする動きが見え始めているのです。

その理由は現在、スペインの失業率は既に20%に達しており、しかもその多くが住宅などに関連する建設労働者だからです。

スペインの不動産市場は過剰投資・過剰投機が祟って凍死状態になっており、多くの物件が工事途中で放棄、若しくは完成しても空き家のままになっています。


格付け機関、ムーディーズは今月中にもスペインのトリプルAレーティングをはく奪する可能性があると言われています。

ストの収拾がつかなくなれば、たぶんムーディーズはスペインをダウングレードします。

今のところ欧州の問題はアイルランドやポルトガルなど小さい国に投資家の関心が集中しています。しかし「スペインの様子がおかしい」という事になるとユーロを巡る景色は急速に変化する可能性があります。

その理由は以前にも書いたように欧州金融安定取極(European Financial Stability Facility)が仕組みのデザイン上の理由から当初の規模よりかなり小さいものになっていることに加え、同取極の持つ構造的な欠点がFXのトレーダー達にだんだん理解されるようになってきているからです。

具体的にはユーロ問題を切り抜ける方策を欧州各国が検討した際、ドイツがユーロ圏全体としてボンド(債券)を発行するという案に反対し、あくまでも各国が債務保証のリソースを持ち寄るというアプローチに固執したということです。

EFSFがトリプルA格を得るためには一定のリザーブを中央に留め置き、クッションを設ける必要があります。その分、持ち寄られた債務保証のリソースで実際に保証できる金額が小さくなってしまうのです。

おまけに国債の発行自体は各国政府がおこなわなければいけないので、ユーロ圏全体としてEFSFからの「キャッシュコール」が増えると、余計に個々の国のファンディング・ニーズが増えてしまうというイタチゴッコが起こりかねません。

これは相手がアイルランドやポルトガルなら問題なく保証できるわけですが、もっと大きな国、たとえば「スペインとかフランスが逝くのではないか?」と思われ始めたら急速に保証のメカニズム自体がギクシャクする危険を孕んでいるのです。