現在、アメリカの穀倉地帯は収穫期を迎えています。今年は大豆を中心に例年よりかなり早いペースで収穫が進んでいます。

このタイミングは大きな買い付けがなされる時期でもあります。

シカゴの先物市場では(いつ中国が動き出すか?)と市場関係者は毎日、固唾を呑んで見守っています。

今年はいろいろな条件が重なって穀物の先高観が強いです。

そこでその背景を少し説明します。


まずこの夏はずいぶん世界的に暑い夏でした。特に黒海ならびにロシアでの猛暑と干ばつは小麦の作柄に大きな影響を与えました。

一方、米国におけるとうもろこしは今年の夏を通じて豊作が予想されてきました。しかし6月の降雨が多すぎた事でとうもろこしのイールド(作柄)が下がりました。

10月8日に米国農務省が発表した作柄報告では市場予想イールド160ブッシェル/エーカーに対して155.8ブッシェル/エーカーという数字が報告されました。

これでひっ迫感が急に募ったわけです。

結局今収穫年のエンディング・ストック予想は9億ブッシェル、ストック・ツー・ユーセジ・レシオで6.7%という大変タイトなマーケットが予想されています。

とうもろこしや大豆は人間の食用に加えて家畜の飼料になります。

普通、飼料のコストが急騰すると養鶏場、養豚場、牧場の経営者は飼育頭数を減らします。

しかし今年の場合、食肉への需要も多いし、向こう数年に渡る見通し的にも需要は強いと見られているため昔のようにすぐ「飼育頭数を減らそう!」という決定にはなりません。

従って飼育頭数の減少による飼料需要の減少というシナリオは余り期待できないわけです。

また普通なら供給過剰で市況の崩れる穀物がかならずあるため、より有利な作物へのシフトが起こります。

しかし今年は全ての穀物が仲良く高値を付けているため穀物間での作付戦略のシフトは起こりにくいと予想されています。(大豆に関しては記録的な豊作にもかかわらず需給はひっ迫しています。これについては別のところで書いたのでそちらを読んでください。)

さらに長期的な趨勢としては中国をはじめとした新興国が大豆やとうもろこしなどの買い付けをどんどん増やすと見られているため市場は年々タイトになっています。

これに加えて:

1.先進国各国の中央銀行が超緩和的金融政策を取っていること
2.ドル安が続いていること
3.今年の穀物相場の高騰は投資ファンドなどの投機マネーによって演出されたものではなく実需によって突き動かされていること

などを総合すると基調としては今後も強い相場が続くと多くの市場関係者は見ています。