アメリカのベンチャー・キャピタルには厳然とした「格」というものがあってセコイア・キャピタルやクライナー・パーキンスは数あるVCの中でも最高峰だと考えられています。

彼らから投資をされるという事自体が普通ならそのアントレプレナーの事業に対するお墨付きであり、おおいに世間に見せびらかすことのできる勲章なのです。

しかし世の中にはセコイアやクライナー・パーキンスを屁とも思わない傲慢なアントレプレナーも居ます。Facebookのマーク・ザッカーバーグがその人です。

ザッカーバーグはセコイアから「ウチが投資してやるから、ちょっとプレゼンしに来い」と言われた時、わざとアポイントメントをすっぽかすフリをしました。


アポイントの時間になっても現れないザッカーバーグにセコイアのメンバーが電話して「忘れたのか?」と催促しました。

実はFacebookのチームははじめからセコイアのメンバーをカンカンに怒らせるつもりで周到に芝居を打ったのです。

わざと遅刻したザッカーバーグらはパジャマ姿でサンドヒルロード(シリコンバレーのVCのメッカ)にある瀟洒なセコイアのオフィスにタクシーで乗り付け、10枚のスライドのプレゼンをしました。

その一枚一枚に「なぜセコイアはFacebookに投資すべきでないか?」という理由が書かれていたのです。

これを見てセコイアのパートナー達はカンカンに怒ってFacebookへの投資をやめてしまったそうです。

なぜマーク・ザッカーバーグがセコイアをコケにしたかというとセコイアは経営陣に対する要求もシビアで、しばしば創業者に対しても冷たい仕打ちをすることで知られているからです。

一例としてシスコの創業者、サンディ・ラーナーがセコイアの根回しで解任されたエピソードはハイテク投資をやっている人間なら誰でも知っているエピソードです。

セコイアは社是として「ウチは経営者の人物を見ない。むしろマーケット・ポテンシャルを見るのだ」ということを普段から主張しています。

ところがFacebookとのミーティングでは意図的に寝間着姿で現れたザッカーバーグにキレて、ソーシャルというバカでかいマーケット・ポテンシャルを冷静に考えてみる事をしなかったのです。

これはシリコンバレーでは有名なセコイアの「黒星」であり、ザッカーバーグという若者の剛毅さをしのばせるエピソードです。