今後景気が悪くなると予想される時、投資家は債券へ避難することが知られています。
デフレの環境下では債券をしっかり抱いておくのが正しい投資戦略です。

ところがいまアメリカの債券市場で起こっていることは、これと真逆です。

下のチャートは米国の30年債の価格を示したものです。
30yr

このところ米国30年債はかなり容赦なく売られています。
これは何を意味するのでしょうか?

今後の米国経済の成長が加速する事を投資家が予期しない限り、債券はこんな売られ方はしません。


30年債は今回の追加的量的緩和政策でFRBが大量購入を予定している財務省証券の対象外です。(ほんの少しは買うでしょうけど。)

だから景気回復の兆候が出てくればFRBからの買い支えの対象にならない30年債は一番売られやすいという風にも言えます。

しかし興味深いのはFRBが「ガンガン買うぞ!」と宣言している、もっとデュレーション(償還期限)の短い債券の価格も今回の追加的量的緩和政策が発表される前の水準に比べて逆に価格は下がっているのです。

これは「ひょっとしたら、FRBはちゃんと6000億ドルの追加的量的緩和政策を実行に移さないのではないか?」という考えが投資家の頭の中をよぎっているからに他なりません。

先週から今週にかけてバーナンキFRB議長の舵取りに対して各方面から批判が出ました。その批判に屈してバーナンキFRB議長がQE2(追加的量的緩和政策の別称)を止めるということなのでしょうか?

僕はそれは違うと思います。

QE2のようなやばい政策を打ち出すと各方面から非難が集中することぐらいバーナンキ議長はよく心得ているし、殉職するくらいの決意で今回の政策を提唱しているわけです。つまり捨て身の決心ということです。

だから少々批判が出たから、やめるということはありえません。

それは「何が何でもQE2は中止しない」ということではありません。

QE2を宣言するにあたってバーナンキ議長は明快に「どういう場面でQE2を止めるか」ということを市場にコミュニケートしています。

それは現在1%をチョッと超える程度であるアメリカのインフレ率が2%につっかけてきたら、QE2を止めるということです。

これは何度強調しても強調しきれないほど重要なポイントです。