最近話題になることが多いMail.RUとは一体、どんな会社なのでしょうか?

Mail.RUはロシア最大のインターネット持ち株会社です。

同社はインターネットを通じたコミュニケーションならびにエンターテイメントのプラットフォームを提供しています。

その経営方針はインターネット・サイトの運営会社としての側面と「投資会社」としての側面を兼ね揃えています。

同社の傘下にはロシアの三大ソーシャル・ネットワーク(SNS)のうち第2位のOdnoklassnili(略してOK)とMoi Mirがあります。さらにロシア第1位のソーシャル・サイト、vKontakte(VK)の24.99%を保有しています。

同社はさらにロシア最大のインスタント・メッセージ(IM)ネットワーク(Agentならびに ICQ)を運営しています。メール(Mail.RU)のほかフォト・サイト、ビデオ・シェアリング、ブログ、オンライン・デート・サイトなども運営しています。

エンターテイメントの部門ではオンライン・ゲーム(MMO)やオンライン・ソーシャル・ゲームを運営しています。

同社の運営するウェブ・ポータルはロシア第2位です。

同社はさらにQIWIと呼ばれるオンライン・ペイメント会社の25%を所有しています。

これらのポートフォリオ企業の多くはMail.RUが株式取得によってだんだん持ち株比率を増やした投資対象です。同社がこれまでどのようにこれらの子会社への支配を強めていったかについては下のグラフにまとめておきました。
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売り出し目論見書のP&Lでは各会計年度の連結対象の関係から売上高や営業利益がブレテいるように見えます。

売上高
2007年 2100万ドル
2008年 10万ドル
2009年 1.483億ドル
2010年半年 1.087億ドル

営業利益
2007年 赤字1600万ドル
2008年 赤字6720万ドル
2009年 赤字1400万ドル
2010年半年 770万ドル

そこでそれらの子会社が全部現在の保有比率で過去からずっと保有されてきたと仮定して、連続的な営業成績を示したのが下のグラフです。
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また各部門の全体に対する売上比率は下のグラフのようになっています。
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Mail.RUは海外の投資対象に対しても上に述べたようなポートフォリオ的なアプローチをしています。とりわけ:

1. 経営への口出しにこだわらず、小さい出資比率でも厭わない
2. 上場のタイミングなどイグジット・ストラテジーにこだわらない

という全くパッシブな投資姿勢をハッキリ打ち出すことで経営権を守ることに神経を使うベンチャー企業に対して「理想のパートナー」を印象付ける努力をしています。その結果:

Facebook 2.38%
Zynga 1.47%
Groupon 5.13%

などへの投資に成功しています(カッコ内は持ち株比率)。

上記の企業は今をときめく超人気企業であり、それらを総なめにしているという事実はMail.RUの経営者、ユリ・ミルナー(モスクワ大学→ウォートン・スクール→世銀)の巧さを如実に示していると言えるでしょう。

なお、Facebook、Zynga、 Grouponなどへの投資は「売却予定の投資案件」という会計上の分類をしており、このためバランスシートを〆るごとにフェア・バリューの査定をすることになっています。

2010年上半期はFacebookへの投資から1.723億ドルのキャピタルゲインを計上しました。