日曜日、北京で3日間にわたって開かれていた毎年恒例の中央経済工作会議が閉会しました。

今回の会議ではインフレ抑制を最重点課題とし、慎重な金融政策が採られることが明言されました。

つまりインフレの息の根を止めるまでは金融引き締めの手綱は緩められないことが確定したのです。

すると当面は中国の消費者物価指数を見ながら投資方針を決めれば、それで十分だということです。

言うまでも無くインフレは良くない方向へと転がり出しています。
物価

一方、中国株ですが、現在の株価水準は別に割高ではありません。

PERではヒストリカルな水準の枠内(向こう12カ月のEPSに基づいたPERで10倍から16倍)におさまっています。因みに現在のモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル・チャイナ・インデックスのPERはフォーワード・ベースで13倍程度です。



ただ今後は金利が上昇してくるだろうし(=株式にとっては好ましくありません)、経済の中に滞留する流動性もインフレ退治のために一段と絞り込まれてくると考えるのが自然です。

過去の経験則では、こと上海総合指数に関する限り、M1の成長率が前年よりも加速するか、減速するか?だけを見ていれば、株式市場の方向性を占うことが出来ました。
M1

現在の中国は2009年の集中豪雨的な貨幣の供給の二日酔い状態を醒まそうとしている段階なのです。

これは或る意味、バブルに沸いた日本の1980年代の状況に似ています。

当時の日本はオイル・ショックの後で「どんなことがあっても景気を悪くしてはいけない」という危機感を政府が強く持っていたため、超低金利が維持されました。

しかし金利を低く据え置いた期間が長すぎたため、いざバブル退治に乗り出そうと思った時にはもう資産価格は手のつけられない高値に舞っていたわけです。

こんにちの中国はいろいろな資産クラス(株や不動産など)にあまねく投機熱が蔓延していない(=少なくとも株のPER15倍はバブルではありません)という意味では古典的なバブルの定義には当てはまりません。

しかし不動産市場は完全にバブル圏に入っています。

ちょっと話が脱線しますが、日本でも昔、学生運動とかありましたし、いまロンドンでは大学生が学費の値上げに抗議して狼藉を働いているようですけど、政治的な安定という観点からすれば大学生というのは極めて重要な存在です。

中国では熾烈な受験戦争を勝ち抜いて大学を卒業した若者が自分の学歴に見合った仕事に就けず、大都市周辺のスラムのようなところに住みついています。

もちろんスラムは世界のどの都市にもありますけど、「学士様のスラム」というのはユニークではないでしょうか?

また良い職業に就いているエリートでもちょうど日本の80年代のように片道2時間もかけて遠いところから通勤するということが常態化しています。

中国の指導者たちはこのような状況に背中を押されて社会不安の勃発の回避のために金融を引き締めているのです。