よくオンライン・セミナーなどで皆さんから「広瀬サンは中国が嫌いだから、、、」というコメントを頂きます。

これは正しくない。(笑)

まず人種的な好みから言うと中国人は好きです。僕の親友には中国人が多いし、アメリカの金融業界で出会った最も尊敬する起業家/インベスターも中国人だし、だいいち中国の女の子はイケてると思います。ニューヨーカーにも相通ずるチョイ傍若無人なところもアメリカ暮らしの長い僕には感性的にぴったり来ます。

次に産業界としての中国の競争力、、、これについても中国はメチャクチャ足腰がシッカリしていると思います。コスト競争力があるばかりでなく、インフラストラクチャ回りも充実しており、物流まで含めて圧倒的だと思うわけです。

ただ中国株になると話は別です。

(2010年は中国株を買っても儲からないだろうな)と思ったけど、実際、儲からなかった。

なぜ中国株には感心しないか?

ひとつにはキャッシュフローがカツカツの会社が案外多いということ。
次に中国の企業は余剰生産能力を抱えてマージン・プレッシャーを受けているところが多いこと。普段ですらお互いの支払い条件はシビアなのに、昨今は金融引き締めで資金繰りは綱渡り状態のところも多い、、、

人口動態的には2025年にはちょうど日本の1989年頃のような人口のピーク(=老齢化の加速)を迎えるわけです。すると工場進出や店舗展開など10年単位で先行投資の採算を考えなければいけない企業の経営者の視点からすれば、もう中国へ出る事の「旬のタイミング」はとっくに過ぎているわけです。


むしろ(中国のあの見事な成功って、、、一体何だったんだろう?)ということを省みるステージにいまはさしかかっているのです。

僕の考えでは中国の奇跡は戦後日本の復興やドイツが第二次大戦の灰塵から奇跡の復興を果たしたのと全く同じ理由だと思います。具体的には南巡講話があった頃の中国はGDPを1%押し上げるために必要な先行投資金額(Incremental capital-output ratio)が極めて低かったので、僅かな先行投資額で大きなリターンが得られたという点です。

次に農村から都市への人口のシフトが起こるだけで国の生産性がどんどん向上しました。

しかしこれらの条件は中国共産党の政策のプライオリティー(優先順位)が変わったため、最近、変化してきています。

ひとことで言えばナチュラルな投資回収サイクルがだんだん回転しなくなり、資本のムダ遣いが増えているのです。

このへんのところは株式の投資家には余り痛感されていません。なぜなら株にはバブルでも騰がるというメリットがあるからです。でも実業の世界のひとは(好景気でもぜんぜん儲からなくなってきている)と焦っています。

彼らが自ら問うていることは従って(中国だけが特別だったのか?それともこの成功の方程式はインドやベトナムやバングラデシュなど他の国へも移植可能なのか?)ということです。

この面では既に経営者は結論を出していると言えます。

その結論とは「Yes、中国で起こったことはインドやベトナムやバングラデシュでも起こる!」ということなのです。それは最近の直接投資の資金の向かう先を調べれば明白です。

「いまは未だ中国が圧倒的に工場の立地としてはサイコーだけど、先々のことを考えると仕事がしにくくても今のうちにもっと労働コストの安い国に出ておいた方が得だな」という、チャイナ・プラス・ワン戦略は実業の世界ではもはや常識になりつつあると思います。

いつも言いますけどポートフォリオ投資のお金は常に実業のマネーに遅行します。だから株式投資先を模索するのであれば実際に日本企業が工業団地などにどんどん進出しはじめている国にコバンザメみたいについてゆけば良いのです。

ドイツや日本や中国で起きた奇跡は文化制約的ではありません。条件さえ揃えば世界の何処でも再現可能です。ちょうど日本が中国の台頭で熾烈な競争に晒されたように、いま中国は攻める側から守る側へと過渡期を迎えているのです。