先ごろ発表された日本の来年度予算がウォールストリート・ジャーナルの株式コラム、「ハード・オン・ザ・ストリート」で取り上げられました。

退屈極まりない日本の予算の話題が同コラムで問題にされたことは僕の記憶にはありません。

「Japan’s Superbad Budget(=日本のチョー悪予算)」と題されたこの記事では「2年連続で日本は総税収よりも多い金額の国債を発行している」など、痛い指摘がなされています。

農業に対する補助金が前年比+40%も積み増されているだとか、外貨準備を取り崩して帳尻を合わせようとしているとか、結構するどいツッコミもあります。

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さて、ここからは僕の考えですが、この記事によって欧米の投資家が日本の内容の悪さに覚醒するか?といえば、その可能性はゼロに近いと思います。

なぜなら大部分の外国の投資家にとっては日本はどうでもいいからです。

なぜ彼らは日本をどうでもいいと思っているかといえば、それはそもそも日本の国債を保有していないからです。

下のグラフは世界の主要先進国の債券市場(国債、金融債、社債を含みます)の規模と、債券の購入者(国内、外人)をその国のGDP規模と比較したグラフです。
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これを見るとそもそも日本の債券は外国人にはぜんぜん人気が無いことがわかります。

なぜ日本の債券は人気が無いのでしょうか?

ひとつには利回り的に魅力が全くないからだと思います。

下のグラフは各国の10年債の最近の利回りの推移を示したものですが、日本の国債の利回りは抜きんでて低く(=利回りが低いということは債券価格は逆に割高)、ソルベンシー(=支払い能力)リスクが価格に正しく反映されていません。
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なお日本の債券の大半は企業や銀行が出す債券(社債、金融債)ではなく、国債です。この国債への異常な傾倒というのも日本に固有な特徴です。

その結果として日本の国債市場は世界の中でも米国財務省証券と肩を並べて巨大な存在となっています。
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米国財務省証券は世界の投資家に買われています。

でも日本国債は上で見たように日本人にしか買われていません。

これは日本にとってユニークな問題を提起しています。

それは若し日本がズッコケたら、世界の誰も助けてくれないということです。

なぜ世界の誰も助けてくれないのでしょうか?

それはひとことでいえば、そもそも日本の国債を持っていないので自分は痛くも痒くもないし、運命共同体意識が希薄だからです。

だからアイルランドがドイツに助けてもらったように、日本がおかしくなったとき何処かの国が救いの手を差し伸べてくれるという風には考えない方が良いでしょう。

世界がそうする理由は無いし、だいいち心から何とか助けたいなと思っても、あまりに巨大市場過ぎて救いようが無いからです。


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