僕は天下国家を論じるのは嫌いです。
そんなの議論したところで国や企業は変わらないし、時間のムダですから。

逆に自分で率先して出来る事、、、これについて考えるのは大好きです。
要するに待つ事が出来ないせっかちな性格なのです。

で、日本です。

僕は日本崩壊論者ではありません。(よく誤解されるけど)

日本の財政危機がクライマックスを迎えるまでにはまだまだ時間がかかると思います。

僕がそう考える理由は日本がこんにちののっぴきならない状況に至るまでには長い時間がかかったからという点にあります。

ギリシャやアイルランドやドバイのように急にブームになった国は揺り返しが起こるのも急です。

でもイタリアや日本のように経済の変化が緩慢な国は突然おかしくなる可能性は低いと思います。

僕の先日の記事に対して読者の方から具体的にどのようなシナリオで日本の特殊な構造が崩れてゆくのか?という質問を頂きました。

僕の考えはこうです。

先ず「国債にもリスクがあるのだな」という消費者の覚醒が静かに起こると思います。それはギリシャなどを見ていればわかることです。

おおまかに言えば今は新興国より先進国の方がリスクが大きいです。そのひとつの理由は金融危機などをきっかけとして先進国はどんどん政府の借り入れを増やしているからです。
先進国新興国政府負債


先進国(青)は不健全なトレンドを示し、新興国(赤)は健全です。

一般論で言えば先進国は政府部門の借り入れが多いだけでなく、民間の借り入れも多いです。

下のグラフは民間部門の負債を示していますが、このグラフ中、アイルランド、スペイン、ポルトガル、ハンガリー、ギリシャなど比較的民間部門の負債が多い国が次々にソブリン不安に巻き込まれています。
民間部門負債


つまりソブリン(=国家の負債)と民間部門の負債は切っても切り離せないし、トータルで考える必要があるということです

乱暴な言い方をすれば上のグラフでイタリアまであたりを境として左側の国では長期金利が上昇しはじめており、右側は安泰です。(もちろん中には例外もあります)

僕が言いたいことは政府や民間が沢山の借金を背負いこむ事に対する投資家の不信感は世界共通のことだという事です。

すると今後の世界的な潮流として、上のグラフの左側の国々の投資家のお金は、より安全な右側の国々へと少しシフトするということです。

先日、新興国債券型投資信託のパフォーマンスが凄いことになっているという話を紹介しました。もちろん、これは新興国通貨が強含んだなど、幸運な偶然が重なって起きた現象ですから同じような凄いパフォーマンスが再び起こる可能性は低いです。

しかしそもそも新興国と日本では金利水準が違いすぎるという点も事実です。

例えばモーニングスターの投資信託のリターン・ランキング(1年)の国際債券部門と国内債券部門のトータル・リターンの数字を見て下さい。(なおこれらはぞれぞれのカテゴリーでのトップ20銘柄ですからどのファンドでもこういうリターンが出るという話ではありません。またファンドによっては純粋な債券だけでなく他の商品との複合になっている点に注意してください。あくまでも国内モノと外債モノでは利回りが雲泥の差だという事を示したかっただけです。)

新興国に対する拒絶反応が少し薄れ、逆に先進国の内容の悪さに対する認識が高まるとだんだん日本国債を国内の金融機関や個人に売りつける事が難しくなります。これは国債の消化不良を招き、利回りの上昇(=価格の低下)を招く可能性があります。

前にも書きましたがその場合、ガイジンが日本の国債を買い支えてくれる可能性は低いです。なぜなら日本のファンダメンタルズの悪さは世界の投資家には良く知られているからです。
純負債


とりわけトレンドとして日本の財政収支は悪化の一途をたどっています。
財政収支


また税収は年々着実に減ってきています。


下のグラフは政府負債(グロスベース)のトレンドを示したものですが、日本の場合、トレンドの悪化のペースもさることながら、規模が半端じゃない点は否が応でも目につきます。
政府負債グロス

しかしそんなアブナイ日本国債を機関投資家が敬遠したか?といえば、それは違います。日本国債はこれまで苦労無く消化されてきたし、価格も上昇してきました。その理由は日本がデフレだったからです。

またリーマン・ショックなどがありアメリカや欧州などの先進国でもデフレの可能性が出ました。このため債券はファンダメンタルズの悪化にもかかわらず世界的に人気だったのです。

下はアメリカの10年債の利回りのグラフですが1980年から実に30年にも及ぶ長期ブル相場があったことがわかります。
米国10年債


つまりなぜアブナイ日本国債がこれまでスンナリ消化されてきたか?という疑問への答えは、「いままで日本国債を買って損をしなかったから」という事に尽きるのです。

でも逆に言えばこれだけ利回りが小さくなれば「日本国債を購入することで背負い込むリスクに対してじゅうぶんな見返りとしてのリターンが無い」と投資家が考える日が来ないとも限らないわけです。

事実、日本国債に投資することでキャピタル・ロス(評価損)が出始めれば、国際的に見て自己資本比率が低い日本の金融機関は堪え切れなくなってこっそり国債から「足抜き」をはじめると考えるのが自然です。

それでは一体、何がきっかけで投資家の考えが変わるか?ですが、僕は案外、原油価格ではないかなと思っています。

原油は2010年を通じて余り動きませんでした。それは最大の消費国が米国であり、アメリカの景気が悪いのでとうぶん原油の相場は後回しになると思われてきたからです。

その原油が最近90ドルを超えて過去1年の新値につっかけてきています。
WTI


そろそろ話をまとめたいと思います。

われわれ個人に出来る危機管理として先ず僕がやりたいことは少し原油を買いたいということです。これはETFやCFDや海外先物などでカンタンに実行できます。

次に債券ではなるべく先進国の比率を減らし新興国の比率を上げるという事です

以上はすぐにでも実行できるささやかな生活防衛だし、成果はすぐに出ると思います。