スタンダード・チャータード銀行は長い間、「B級」の銀行でしたが、近年、めきめき頭角を現しています。

いま新興国に特化した商業銀行としていちばんホットな銀行だと言っても過言ではないと思います。

なぜ同行が絶好調かといえば香港、シンガポール、インドなどのアジア諸国に加えて中東やアフリカなどの新興国をカバーする幅広い支店網を持っていることと中小企業や貿易ファイナンス、住宅ローンなど新興国のリテール・ビジネスに特化した事業ポートフォリオを持っているからです。

Victoria_Disraeli_cartoon同社はもともと「パックス・ブリタニカ」と呼ばれた1800年代の大英帝国の絶頂期にビクトリア女王から勅許(royal charter)を授けられて開業したチャータード・バンク(1858年、ムンバイ)がルーツとなっています。

当時はディズレーリが首相で財政困難に陥ったエジプトからスエズ運河の株式44%を取得し、フランスとの共同統治に乗り出していた頃です。

中国では第一次アヘン戦争に英国が勝ち、香港を植民地として獲得した直後でした。

463px-Punch_Rhodes_Colossus同じころ南アではセシル・ローズがダイヤモンドの採掘で成功しデビアーズ社を興しました。(世界最初の奨学金、ロード奨学金はセシル・ローズの名前から来ています)

その当時、ダイヤモンド鉱山の資金を扱ったのがスタンダード銀行です。

チャータード銀行とスタンダード銀行という大英帝国の植民地経営に深くかかわった2つの銀行が1969年に合併して出来たのがスタンダード・チャータード銀行というわけです。


同社の資産内容を見ると大半が旧大英帝国の新興国であることがわかります。
STAN1

また同社は新興国の企業や消費者が必要とするベーシックな銀行サービスだけを提供しており、他のメガバンクがやっているようなデリバティブのトレーディングなどのわかりにくいビジネスはありません。
STAB2


さらに新興国の銀行が陥りやすい政府系企業への貸し込みとか、そういう焦げ付きリスクの高い融資先も殆どありません。いま問題になりはじめている新興国での不動産開発関連のエクスポージャーも皆無に近いです。あくまでも製造業や貿易業者や中小店舗主や個人への貸付が中心です。

このようなクリーンな資産内容を背景に同社は金融危機前の2008年から現在にかけて世界の大手銀行の中で唯一、格付け機関からアップグレードを受けている銀行として異彩を放っています。因みにフィッチの同行の格付けはAA-であり、これはJPモルガンやドイチェバンクと同じです。

同行の最近のローン焦げ付きトレンドは安定しています。同行は余りトレーディングをしていないのでVaR(バリュー・アット・リスク)は極めて低いです。ティア1キャピタル・レシオは11.2%で大手銀行の中では最も高い部類に入ります。

なおスタンダード・チャータード銀行の主上場先はロンドンでCMC MarketsでCFDの扱いがあります。