イスラエルが巨大なオフショア天然ガス田発見のニュースに沸いています。

昨日、米国の独立系の石油探索会社、ノーブル・エナジー(ティッカー:NBL)がイスラエル沖で巨大な天然ガス田を発見したと発表しました。

482px-Destruction_of_Leviathanハイファの沖合47キロ、海底1645メートルに位置するこのガス田はリバイアサン第1鉱区と呼ばれる鉱区です。余談ですがリバイアサンとは聖書に出てくる海の怪物を指します。

今回確認された鉱区だけで16兆立方フィート(4500億立方メートル)の天然ガスが存在することがわかりました。これは過去10年で世界最大のガス田の発見であり、これだけでイスラエルの必要とする100年分の天然ガスを供給できる計算になります。

ノーブル・エナジーにとってはここ数年の同地域における一連のガス田発見は同社創業以来の規模であり、合計すると25兆立方フィート(7000億立方メートル)、パートナー企業の持ち分を差し引いたノーブルのネット・インタレストのみで8.5兆立方フィート(2400億立方メートル)の権益となります。

その一方で今回の発見は早くも紛争のタネになる様相を呈しています。

紛争の原因は大きく分けて近隣諸国との国際関係とイスラエル国内の問題に2分できます。

まず今回天然ガスが発見されたリバイアサン鉱区は海上でレバノンの国境線と接している部分であり、レバノン側にも天然ガスが存在する可能性があります。また国境線自体も係争のタネになっています。

またリバイアサン天然ガス床はキプロスの海域にまで広がっている可能性もあります。
NBL

(出典:ノーブル・エナジー)

従って沖合に眠る莫大な富を巡って昔から繰り返されてきた国境論争が再燃する恐れがあるのです。

次にイスラエル政府の資源開発に関連する経験の浅さや貪欲さも露呈しています。

イスラエルは建国当初から「我が国は資源に乏しい」という先入観があったため、地下資源の採掘権に関する法律も1950年代に作られたいい加減な法律に依拠しています。

もとより自分で石油や天然ガスを探索するノウハウや余裕は無いわけですから外国企業にとって極めて有利な採掘権の賦与を規定していました。そうしなければ誰も鉱区に興味を示してくれないからです。

ノーブル・エナジーはそういうインセンティブがあったのでリスクを冒してイスラエル沖の油田開発に乗り出したのです。

これを見たメジャーの石油会社はノーブルを冷笑していました。

エクソンやシェブロンなどのメジャーな石油会社は既にサウジアラビアをはじめとするアラブ諸国と長年に渡ってビジネスをしてきたので、イスラエルで石油開発をするとアラブ諸国の機嫌を損ねるわけです。

これに対してノーブル・エナジーは米国国内、メキシコ湾、西アフリカなどを中心に展開している企業でアラブ世界とは縁がありません。だから既存客を怒らせるリスクが無かったのです。

しかしイスラエル沖で天然ガスが発見されて以来、イスラエル政府は採掘権や法人税に関する法律を改正しようと画策しています。


一方、イスラエルの実業界では鉱区取得のためのダミー会社がどんどん設立されて投機筋が「EZ(イージー=楽勝)エナジー」などといういかにも安易な社名のペーパー会社を次々設立し、詐欺が横行しているそうです。

下のチャートはノーブル・エナジーと権益を分け合っているイスラエルの地元のコネを持ったレシオ・オイルという会社のテルアビブ取引所における株価ですが、ぶっ飛んでいることがわかります。
レシオオイル

むかしのイスラエルはじゃんじゃん石油が出る近隣のアラブ諸国に対してじっと耐えて努力を積み重ねるキブツ精神で国を発展させてきました。その意味では資源に乏しい日本のメンタリティーに相通じるものがあります。

ところがハイファ沖が「ここ掘れワンワン」状態になっていると見るやすぐに鉱区契約を反故にしようと画策しはじめているわけです。

これを見かねたビル・クリントン前大統領はネタニエフ首相が訪米した際、採掘権を取り上げないよう釘を刺しています。

このようにレバイアサンの発見は早くも悪魔の呪いを感じさせる展開になっているわけです。

なおノーブル・エナジー(ティッカー:NBL)は楽天証券で取扱いがあります。