アメリカの新聞や雑誌の業界関係者はデマンド・メディアという会社名を聞いただけでアタマから湯気を出して怒ります。

「あんなのメディアじゃない!」

でも彼らがムカつくということは、それだけデマンド・メディアの存在を脅威に感じているからだし、同社のビジネス・モデルがマスコミの仕事の進め方、コンテンツの作り方、収益モデルなどを根本からひっくり返す可能性を秘めているからに他なりません。

そのデマンド・メディアは今月末、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーというインターネットのIPOでは最高の幹事証券の取り合わせで株式公開されます。


同社は消費者がどんな記事を求めているか?をアルゴリズムで察知し、それが広告主にとって価値のある話題であると判断されればフリーランスのクリエーターに「これに関する記事を書いてください」と仕事を出します。

このクリエーター達は同社が事前に選別したプロの集団であり、もともとコピー・ライターや雑誌の編集者をやっていた「職人」たちです。

記事の例としては「漂白剤は乳がんのリスクを高めるか?」とか「感謝祭のターキーの美味しい料理法」など消費者がグーグルなどを通じて検索する素朴な疑問やノウハウに関するものが多いです。

同社はコンテンツを作るかどうかに関して厳しい基準を持っており、消費者の「知りたい」をちゃんと充足する記事でなければ没になります。

消費者が「この記事、役に立ったな」と思う記事は何度も繰り返し閲覧されるし、月日が経てばたつほど広告価値が上昇します。そういう記事を書くことが出来るフリーランスのクリエーターにはリピートの仕事がどんどん発注されます。有益で要領を得た記事を書けないクリエーターには仕事は回しません。

また記事の作成に際しては文章のスタイルや盛り込む情報(5W1Hのたぐい)に関してきちんとしたガイドラインがあり、ひとつの記事が14人程度の手を渡って磨きあげられてゆきます。

このようにして1日に6000もの記事を作っているのです。

同社はそうして創ったコンテンツを「eHow」などの自社サイトならびにシンジケート記事として広くディストリビュートします。収益はアドセンスなどの広告モデルならびにドメイン・レジストリーに対する記事のライセンス供与から得られます。

また同社の記事はUSA Todayやホームデポともブランディング契約の下に記事提供を行っています。

2009年の年間売上高は約2億ドルであり、一度書かれた記事の「賞味期間」は会計上、5年間とされています。実際には年数が経てばたつほど座布団の積み上げのようにその記事から上がる売上高は増えます。
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これは同社のコンテンツがすぐに新鮮味を失うニュースをわざと避け、基本的な「知りたい」の欲求に応えるという視点から作られていることによるところが大きいです。下は普通のニュース記事の広告価値の概念図です。
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デマンド・メディアのIPOは1月15日頃値決めされる予定で、初値レンジは14から16ドルです。

今回調達予定金額は1.13億ドルで、ティッカー・シンボルはDMDになります。