Pax Sinicaというのはラテン語で「中国を中心とした平和」という意味です。

現在、胡錦濤国家主席が米国を訪問中で、アメリカと中国の間で極めて重要な「G2(2カ国首脳会議)」が持たれています。

しかしリーマン・ショック以降、中国は既に米国一辺倒の戦略から猛スピードで脱却を図ろうとしています。

これまでの中国の成長戦略は:

1. 米国の消費者を「最後の買い手」として頼っている
2. 稼いだ外貨を米国財務省証券などのドル建ての紙切れで主に蓄えている

という2つの面で米国と一蓮托生していました。でもリーマン・ショックでアメリカがぶっ壊れかかったのを目の当たりにして「これでいいのか?」という反省が生まれています。


この疑問に対する中国のとりあえずの回答は「他の新興国とシンメトリック(対称的)な経済関係を構築しよう!」というものです。

ここで言うシンメトリックとは「輸入もするけど、輸出もする」ということです。

説明します。

中国はその旺盛な素材やエネルギーに対する需要を充足するためにブラジルから鉄鉱石を買い、モンゴルから石炭を買い、アンゴラや中東から石油を買い、アルゼンチンやブラジルから大豆などの穀物を大量に買っていることは良く知られています。

このことは何を意味するか?というとそれらの国々は中国と商売することによって潤っている、現金を持っているということを意味するのです。

「お金を持っているのなら、一緒に商売をしましょう!」

つまり中国はそれらの国々に中国製品を売りつけたいと考えています。つまり市場としてのアフリカや中東や南米、、、そういう視点を中国は最近、強く意識し始めているのです。

これらの市場は比較的中国ブランドに対する抵抗感がありません。

したがってアメリカではぜんぜん売れない中国ブランドでもアフリカに持って行けばちゃんと評価してくれる市場があるわけです。

このことに気付いた中国は今、借款などでそれらの国々をどんどん支援しています。

アフリカに鉄道を敷き、道路を建設し、大規模農場を作り、サウジアラビアとも工業団地を作ったり、アルゼンチンの石油会社を買収する、、、

このように中国はいま、猛然たるスピードで新興国へと軸足をシフトしているのです。

中国には英国やフランスや米国が真似しようとしてもゼッタイ真似できないアドバンテージがあります。それは植民地時代に代表される、過去のジオポリティクスの「負の遺産」が無いということです。

だからアフリカや中東に中国が進出しても現地の人からは胡散臭い目で見られません。

「ビジネスはビジネス、、、ここはひとつ政治抜きで行きましょう!」というセールス・トークは昔、日本の商社マンなどが得意とした殺し文句です。欧米に蹂躙されてきた新興国の人たちはこのひとことに弱いのです。

先日紹介したチュニジアの「ジャスミン革命」でアメリカがベンアリ政権の梯子を外した件では親米派のエジプトやサウジアラビアなどの国々のリーダーは本当に肝っ玉が縮み上がる思いをしています。かれらはオバマ政権のような「民主主義の理想に毒されている」後ろ盾ではなく、新しいパートナーを求めているわけです。

そんなとき、中国からアプローチされると、その誘いはとても魅力に見えるわけです。

さて、今後の投資戦略ですが中国がいま大々的にインフラ投資などを進めているアフリカ諸国などに投資するという投資手法が考えられます。

これについては長くなるのでまた別の機会にでも。