地政学コンサルタント、ストラトフォア社のレバ・バハーラはエジプト軍のシェムエルシェイクへの進駐に関して次のようにコメントしています。
これまでイスラエルは理想的な地政学バランスの上に安住してきた。例えばヨルダンの力は弱いし、レバノンは内輪もめしている。シリアはレバノンで金儲けしなければいけないのでイスラエルの脅威となることより現状維持による経済的メリットを優先している。
しかしエジプトでの反政府デモはこの均衡を崩した。
若しエジプトが民主主義に移行したら、ムスリム同胞団の影響力が強まる可能性がある。
その場合、エジプトのムスリム同胞団がこれまで通り、穏健で非暴力的な姿勢を貫くかどうかはハッキリしない。
なぜなら過去のエジプトのムスリム同胞団はムバラク政権の容赦ない警察権力の下で牽制されながら生きながらえてきたからだ。
その抑止力が無くなった場合、ムスリム同胞団が穏健ではなくなる可能性もある。
イスラエルの立場からすればエジプトの軍がちゃんとエジプト国内の治安管理に当たってもらわないと困ることになる。
そのエジプト軍がいまシナイ半島で動き出している。
イスラエルはエジプトの2個師団800人の兵士のシナイ半島への派兵を今回、特別に承認した。
彼らはシャムエルシェイクに居ると言われているムバラクの一族の「護衛に当たるために」派兵されたのだ。
これは1978年のエジプト・イスラエル間の和平協定に違反する行為だがイスラエルはムバラク延命のためにこの派兵を大目に見る態度に出ている。
しかしエジプト軍の「本心」はいまの時点では不明瞭である。
エジプト軍はムバラクを守るために派兵しているのかも知れないし、ムバラクを追放するために動いているとも考えられる。