エジプトでは今、ムバラク大統領をどうやって追い出すかの根回しが始まっています。

ニューヨーク・タイムズによると:

1. 紅海のリゾート、シャムエルシェイクにあるムバラクの別荘に隠居してもらう
2. 毎年恒例のドイツでの人間ドックの定期検診に出かけてもらい、いつもよりじっくり時間をかけて念入りに調べてもらう

などの案が浮上しているそうです。(下はシェムエルシェイクの写真。出典はいずれもウィキベディアです。)
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第2案はなんだか笑い話みたいだけど、これは本当にムバラクの側近がボスの処置に困り果てていることをよく表していると思います。

ムバラクは喩えて言えば山本五十六みたいな地位の高い司令官だった人です。

だから少々デモ隊が暴れ回っているからといってそれに怖気づくような人物ではありません。

ムバラクの前の大統領で、上司でもあったサダトは「これをやればオレは100%暗殺される」ということがわかっていながら、イスラエルと和平協定を結び、予定通りムスリム同胞団のメンバーによって暗殺されました。

つまりこれがお国のためと思いこめば無私の心で信念を貫き通すのです。


ムバラクはそういうサダトの凄絶な生きざまを見届け、その遺志を継いで大統領になった男だからどんな事があってもイスラエルとの和平協定を反故になんかしないし、誰よりもエジプトを愛していると自負しているわけです。

先日、ムバラク大統領をインタビューしたABC放送のクリスティアン・アマンプール女史もがらんとした寂しい大統領公邸でノスタルジックな感傷に襲われた老政治家の落日の光景におもわずうるうるきている様子でした。

CFR(カウンシル・オブ・フォーリン・リレーションズ=米国のシンクタンク)の中東エキスパート、エリオット・エイブラハムはムバラクのそういう信念は40年以上にも渡るお国への奉仕の過程の中で培われたものだから、「Facebook革命ですから、そろそろ隠居して下さい」と言ったところで82歳のリーダーには通じないと指摘しています。

「だからムバラクおろしをやるのはエジプト軍の仕事だし、早く作業にとりかかった方が良い」(エイブラハム)