昨夜は凄いドラマが展開しました。

先ずエジプト軍の方から「きょうムバラク大統領は国民の全ての要求を呑む」という情報がもたらされました。

そしてエジプト軍がめったに召集しないエジプト軍最高評議会(Supreme Council)を開きました。しかも普通であればそれを主宰するはずのムバラク大統領は呼ばれませんでした。

これらの情報が伝えられると夕方になり、一度家路に帰り始めたタハリール広場の群衆は再び膨れ上がり、国民の期待は最高潮に盛り上がりました。

エジプトの国営メディアもそれまでの愛国的プロパガンダの放映を止め、タハリール広場の動静を包み隠しなく報道し始めました。

しかし予定より50分遅れて現地の夜10時50分に始まった大統領のスピーチはこれまでの説教調のスピーチとなんら変わるところ無く、また辞任するという言葉も出ませんでした。

これには群衆は激昂しました。


しかしその後で、「実際にはムバラク大統領はその権限の多くを副大統領に譲った」という解説がもたらされました。

その解説をしたのは在米エジプト大使です。

但し、「憲法改正、議会の解散、内閣の解散を要求する権限だけは副大統領には委譲しなかった」のだそうです。これらの権限は「誰に帰属するのか、わからない」という状態になっています。

ウォールストリート・ジャーナルは「このような権力の委譲の詳細はムバラク大統領のスピーチを聞いていた限りではわからなかったし、そのニュアンスは伝わらなかった。あるいはもう群衆にとってそういう細かい点はどうでもいいという地点にまで達しているのであり、兎に角、辞めるという一言が聞きたかった」と解説しています。

ホワイトハウスは「信じられない」という驚きに包まれました。

その後、スピーチしたスレイマン副大統領は「衛星テレビを見るな。仕事に戻れ」と、これも親が子供を諭すような口調でムバラク大統領のスピーチに輪をかけたようなショボいスピーチで、もう殆ど誰も耳を貸さないような状況でした。

ただ群衆の反応を見る限り、スレイマン副大統領ではエジプト国民は納得しないということだけは明らかでした。

エジプト軍が本来、戦争などの有事の際にしか開催しない最高評議会を今後定期的に開催してゆくと宣言したことは実質的なクーデターに相当するという考え方が支配的です。

さて、今日エジプトで何が起こるか?ですが再び大きな反政府デモが起こることが予想されるし、場合によってはストライキが起こる可能性があります。昨日、再び「スエズ運河が閉鎖される」という噂が出たことからも運河でストライキが起こる可能性は無いとは言えません。