2月8日にCMC Markets Japanのお客様のためにリパトリエーションという現象についてのセミナーを実施しました。

いまリビア情勢を嫌気して世界の投資家のリスク姿勢が低くなりつつあります。

つまりリパトリエーションに絡んだパニック売りが、もうすぐそこまで迫っている危険性があるわけです。

そこで今日はそのときにお話しさせて頂いたさわりの部分を紹介したいと思います。

リパトリエーションが起きるときは大体、投資家は慌てています。

投資家が慌ててアクションをおこすときは、その投資先の内容が良い、悪いにかかわらず、とかく性急な売買をしやすいものです

その場合、投資対象の値動きはその投資対象の中身の善し悪しではなく、流動性によって決まります

流動性とはわかりやすい言い方をすれば出来高ということです。

巨大な市場で出来高も多く、ちょっとのことではびくともしない市場のことを「流動性が高いマーケットだ」という風に形容します。

逆に比較的小さい市場で、出来高が薄く、すこし買い手が来るだけでマーケットが押し上げられたり、逆にちょっとお金が抜けただけで急落するようなマーケットを「流動性の低いマーケットだ」といいます。

流動性の高い市場がバケツだとすれば流動性の低い市場はコップです。

いまバケツからコップに水を注ごうとするとかなり慎重にやっても溢れてしまいます。逆にコップの水をバケツに戻す時はそれほど失敗しません。投資もこれと似ているのです。

法則その1.大きなマーケット、流動性の高い市場はリパトリエーションの際、比較的価格変動が小さい。

法則その2.小さいマーケット、流動性の低い市場はリパトリエーションの際、比較的価格変動が大きい。


この法則がしっかり分かっていたとしても、それじゃどの市場が巨大な市場で、どの市場が小さくて流動性の低い市場なのか?ということに対する感覚が養えていなければ、そもそもどこを避ければ良いのかわからないと思うのです。

そこでこれからマーケットのイメージづくりをしたいと思います。

皆さんは世界の資本取引の市場の中でいちばん大きなマーケットは何だと思いますか?

答えはFX市場です。
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為替の世界では毎日4兆ドル以上の取引が行われています。

だから皆さんに最初に覚えて欲しいことはFXのマーケットは債券や株などより遥かに大きいということです。

それでは次にFXの中ではどの通貨がいちばん大きいのでしょうか?
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答えはドルです。

ユーロがその次で、さらに円と続きます。

新興国の通貨などは余り取引シェアは高くありません。


ここに示したのはいろいろな通貨のボラティリティです。
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ボラティリティとは値段のブレの度合いを指します。

緑色が2007年から今日までの平均的な価格のブレです。

この数字は大きければ大きいほど変動が激しいと思って下さい。

するとここに示したいろんな通貨の中ではブラジル・レアルが78と最も変動が激しいことがわかります。

人民元の変動が極めて小さいのは管理通貨でドルにペグしているからです。

このグラフはドルを基準にしてどれだけブレているかというグラフなので米ドルのところはゼロになっています。

もうひとつ注目して欲しいのはボラティリティは時と場合によって増えたり減ったりするということです。

いざというとき、ボラティリティが急増する通貨は自分が逃げたいときに思ったような値段で逃げられないことを意味します。

さて、次に世界の資産運用市場の規模を確認したいと思います。
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世界には119兆ドルの資産運用市場があります。このうち一番大きいのは個人の資産であり39兆ドルあります。次に大きいのは年金市場です。

年金の特徴は長期運用を目的としており、あまりバタバタ売買しないという点です。だから資産額の大きさほどは市場へのインパクトはありません。
投資信託は比較的頻繁にトレードします。またヘッジファンドは頻繁に取引するし、レバレッジを使うので実際のインパクトはこのグラフで見るより大きいです。

それでは年金の中身を見ましょう。
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運用資産で言えば圧倒的にアメリカが大きいです。するとアメリカの年金ファンドの目からすれば、かれらのホームマーケットは米国ということになります。つまり何か地政学リスクなどが高まる事件が起きた場合、慌てて逃げかえる市場は米国だということなのです。エジプト危機のようなことが起こるとドルが買われやすいのはそのためです。


つづく