昨日近所のスーパーに買い物に行った帰り、ガソリンスタンドが並んでいる交差点のところで値段を見てビックリしました。

無鉛ガソリン(いちばん安いヤツ)が$3.77でした。

僅か数日のうちに20¢以上上昇しています。

こういう事を書くと(なんだ、ケチな話をしやがって)と思う読者が居るかも知れません。

でもアメリカにおけるガソリン代と日本におけるガソリン代はぜんぜん経済に対するインパクトの意味合いが違うのです。

例えば皆さんが日頃通勤に使っている西部新宿線(まあどの線でもいいわけですが)が毎日値上げしたとすると、どう思いますか?

アメリカはクルマ社会なので通勤や子供の学校への送り迎えはクルマです。

だからガソリン代が高くなったからといって他の交通手段に切り替えられるかと言えば、一部の都市圏に住む人を別とすれば大多数の消費者には代替交通手段はありません。

だから値上げは甘受する以外にないのです。

さて、僕は北カリフォルニアに住んでいるのでガソリン代は全国平均より割高です。だから全米平均価格(トリプルエーのフュエルゲージ・レポートによる)は$3.35です。(先週は$3.16でした。下のグラフの出典はトリプルエーですが、先週までの数字しか反映されていないと思います。)

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リビア情勢を受けて原油価格が急騰したわけですが、その影響が末端のガソリン価格にどれだけ素早く反映されているかは僕にはよくわかりません。でもクラック・スプレッド(原油を精製することによる利幅)は縮小していると思うので、まだ仕入れコストの増加は一部しかガソリン価格に反映されていない気がします。

現在のガソリン価格で計算した、米国の小売売上高に占めるガソリン代の割合は10.40%に達しています。

ガソリン代が小売売上高に占める割合は過去10年では大体最低で6.5%、最高で12.4%でした。

だから今の水準は過去最高に近く、だんだん消費に悪影響を与え始めるギリギリの水準だと言えると思います。

いや、すでに低所得者層の暮らしはこのところのガソリン代の上昇で圧迫を受け始めているのではないでしょうか?

それを端的に示すデータ・ポイントがウォルマート(ティッカー:WMT)の株価です。このところ急落しています。
wmt



ウォルマートは庶民のディスカウントストアですが、その売上トレンドは可処分所得の目減りを敏感に反映することで知られています。ガソリン代が騰がった分だけ、食品やその他の商品を切り詰めなければいけないのです。

これは米国経済、言い直せばGDP成長率という観点からすれば成長が少し鈍化することを意味します。

現在の原油価格の水準が今後年末まで続くようだとGDP成長率は0.8%程度下がると思われます。

私は今年の米国のGDP成長率はかろうじて3%に乗ると思ってきたのですが、その想定を改めるときが来たと思います。

僕の新しいシナリオとしては:

米国の2011年のGDP成長率 2.5%
ドイツの2011年のGDP成長率2.5%

あたりを考えています。

言い直せば「今年は僅差でアメリカの成長がドイツの成長に勝つ」というシナリオを棄てたということです。

これは株式市場にとっては余り意味の無い考察かもしれないけれど、FXにとっては大問題です。

なぜなら欧州中央銀行はいままで通り「今後の方向性としては金融引き締め」というバイアスを堅持する一方で、アメリカは緩い金融政策を更に延長する必要があるからです。

アメリカが緩和的な金融政策をとうぶん堅持するということになると新興国の側ではインフレの芽を摘む作業をアメリカに期待することは絶望的です。新興国の利上げは待ったなしになるというわけ。

今日上に書いてきたような、より低い成長とより高いインフレというのは株式のバリュエーションにとってサイアクな取り合わせであることは指摘するまでもありません。