【普段はシニカルな2ちゃんねるの住人たちだが、、、】
昨日、2ちゃんねるで「普通のサラリーマンが原油のCFD全力買いで3日で3億円稼いだ」ということが話題になりました。

Twitterでもそれが盛んにRTされていたので僕もその記事を読んでみました。

「証拠」として売買記録らしい写真もUPされているので(僕には老眼でよく判読できませんが)やっぱり事実なんでしょう。

2ちゃんねるの住人たちのレスを読んでいると普段はシニカルでネガティブ・コメントの方が圧倒的に多い2ちゃんねるなのに、「よかったな!」とこのトレーダーの快挙を素直に讃える声がかなり多かったです。

上に書いた記事を読んだ僕の感想は(とうとうCFDにもめちゃくちゃ儲ける奴が現れたな)と思うと同時に(確率から考えると、そろそろそういう勝ち組が出てくるのは不思議じゃない)という、ある種、当然起こる現象の確認みたいなキモチを持ちました。

【CFDとは】
よく知らない人もいると思うので説明するとCFDというのはコントラクト・フォア・ディファレンスの略です。

コントラクトとは契約の意味でディファレンスは「勝ち」、「負け」の差額を指します。

つまり合わせれば「差金決済」(=勝ち負けの差額だけをやりとりする金融商品)ということになります。

イメージとしていちばん近いのはFX(外国為替証拠金取引)です。

FXがドルやユーロなどの通貨をその取引対象としているのに対してCFDは株や株価指数先物や商品先物が取引対象になっている、、、ただそれだけの違いです。

CFDもFX同様、比較的少額の証拠金で大きなポジションを立てさせてくれます。このことをレバレッジ(てこの原理)と言うのですが、そのてこの原理の存在が今回のような大きな利益が出た背景になっていると思います。

さてCFDを扱う証券会社は必要に応じてカバー取引という作業をします。それは顧客の売り買いの注文に応じて、証券会社内での在庫のバランスが不釣り合いになったとき、それを実際に市場へ行って多すぎる在庫を処分したり、逆に少なすぎるポジションを増やしたりしてバランスを取るわけです。この作業には主に株価先物が使われます。

言い換えればCFDという商品は先物市場に立脚し、依拠した金融商品なのです。



【ゼロサム・ゲーム】
さて、先物市場が普通の株の取引と大きく違う最大のポイントは先物には限月(げんげつ)があるということです。

限月とは最終売買日の月のことで、つまりその期限が来たら、売り方も買い方もその取引の勝ち負けを清算するということなのです。売り方の数だけ買い方が居るので、清算したら、常にトータルはチャラです。つまりゼロになるということです。

このような取引の仕組みを「ゼロサム・ゲーム」といいます。

先物はゼロサム・ゲームだし、その先物に商品のデザインを依拠しているCFDもゼロサム・ゲームです。

これに対して株の取引はゼロサム・ゲームとは言いません。「株は長期では右肩あがりだ」とよく言いますが、そのような環境では誰もが勝者になれるのです。このような現象のことをアップワード・バイアス(Upward bias)と言います。

まとめると:

先物 = ゼロサム・ゲーム
CFD = ゼロサム・ゲーム
FX = ゼロサム・ゲーム
株 = アップワード・バイアス

という感じです。

【陰で泣いているヤツが居る】
すると最初に紹介した、3日で3億円儲けたヤツの裏には「3億円分損した奴ら」が理論上、必ず居ることになります。

もちろんこの場合、「3億円損した奴ら」は一人ではないでしょう。むしろ何十人、何百人居ると思います。それらの人達の負けの合計(金額ベース)が3億円という理解になるのです。

つまり誰かが今回のように大きく「一人勝ち」すると、その反対側に無数の小さく負けたヤツらが出るわけです。

このようにトレーディングの世界は不平等かつ不公平なのです。

だから誰かが3日で3億円儲けたという話を聞いて急いで自分もCFDをやる気になった人が居たら、「自分はひょっとしてその幸運な勝者の側ではなく、敗者の側に回ってしまうかもしれない」ということを考えてみなければいけないのです。

これが株と先物、FX、CFDが大きく違う点です。

ゼロサム・ゲームは「喰うか、喰われるか」の拳闘の世界であり、そこには「草食系」の入り込む余地はありません。

でも若し皆さんが日頃、「悪平等」に辟易し、そういうシビアな世界を渇望しているのなら、、、拳闘のリングに上がることを僕は止めません。


PS:株のアップワード・バイアスは「常にそうである」ということではありませんので、念のため。たとえば1990年からこんにちまでの日本株はダウンワード・バイアスが20年も続いたのです。そのような環境では全員が敗者(ルーザー)になります。