内戦状態に陥ったリビアですが、同国のソブリン・ウエルス・ファンド(SWF)が果たした役割に関し国際社会から大きな疑問が投げかけられています。

その話に入る前に先ずソブリン・ウエルス・ファンドを定義したいと思います。

SWFはひとことで言えば国富を運用するための投資ファンドです。

そう言うとSWFは「公器」、つまり広く国民全員のために存在するファンドだと思い込んでしまいます。

しかし実際にはSWFのガバナンス(統治)は国により千差万別です。



シンガポール投資庁など、ごく一部の例外を除き、大半のファンドは国民全体のためではなく為政者や一握りの政治家、さらには党の利害の伸長の目的で利用されています。

リビアのソブリン・ウエルス・ファンドであるLIA(リビアン・インベストメント・オーソリティー)も残念ながら後者の部類に入ります。

LIAは「血の河が流れるまで徹底的に戦う」という、例の悪名高いスピーチをしたリビアのカダフィ大佐の息子、セイフ・カダフィが考案しました。

セイフ・カダフィはこのファンドによりカダフィ一族が長く政権の座に居座れるように国際社会の歓心を買おうとしたのです。

その原資はもちろんリビアの石油代金なのですが、本来、リビア国民のものであるこのお金は全く国民には還元されませんでした。もっぱらカダフィ・ファミリーのピギー・バンク(豚の貯金箱)として利用されたのです。

その投資ないし寄付先の中にはフィナンシャル・タイムズ(FT)の親会社であるピアソンやロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)も含まれています。

FTやLSEはビジネス社会ではかなり信頼されたブランド・ネームですので、それらを味方につけるとリビア政府は国際社会でビジネスをしやすくなるわけです。

リビアのカダフィが最初質実剛健な砂漠の民から出発し、次に国際テロリスト国家になり、最後はそれまでの悪行がウソのように善人に「更生」した、俄かには信じがたいメタモルフォーゼについては以前に書きました。

その変身に際してイメージ・アップの口紅の役目を果たしたのがLIAというわけ。

いまピアソンやLSEなどリビア・マネーと関わった英国のビジネス界はイメージ挽回に奔走しています。