米国の住宅バブルが弾けて米銀の多くが存亡の危機に瀕した際、カナダの大手銀行は「どこ吹く風」といった感じでその経営は安泰でした。

もちろん米国の不景気に伴う景気減速のとばっちりは受けたわけですが、怪しいデリバティブとか出鱈目な住宅ローンなどの銀行経営の信用を失墜させるような商品ないしは資産からはカナダの銀行は距離を置いていました。

さらに野放図な合併を許し、「大きすぎて潰せない」メタボな銀行(最近は日本にも出現してますがwww)を銀行監督当局が許さなかったという点も幸いしています。

なるほどバーナンキFEDの必死の救済オペレーションで米銀の経営は危機的な状況は抜け出したし焦げ付き資産のトレンドも快方に向かってはいます。しかし米銀はこれからもバランスシート上に載っているゴミ資産と長く付き合ってゆく必要があります。

その点、カナダの銀行の資産内容は比較的健全だと思います。

下は貸倒引当金の推移です。
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今回の金融危機では米銀の多くが損を出し、簿価を吹き飛ばしました。下のグラフは米銀(バンク・オブ・アメリカBACとウエルズファーゴWFC)の簿価の推移をカナダの銀行(ロイヤルバンク・オブ・カナダRYとトロント・ドミニオン銀行TD)のそれと比較したものです。
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ウエルズファーゴはバフェットが大株主の銀行であり、米銀の中ではピカピカの存在です。だから簿価が伸びているのは例外的だと言えるでしょう。(この他、大手ではJPモルガンもしっかり簿価を伸ばしています。)でもこのグラフには出ていないけど、バンク・オブ・アメリカよりもっと酷い例としてシティグループの場合2007年には22ドルもあったBPS(一株当り簿価)が2009年には僅か5ドルに溶けています。

このことからもいかにカナダの銀行が手堅く経営されていたかがわかると思うのです。

でも手堅く経営するということは守りに徹するということではありません。実際、カナダの銀行はちゃんと総資産を伸ばしているし融資も増やしています。
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特にトロント・ドミニオン銀行の積極的な姿勢が目に付きます。

トロント・ドミニオン銀行はバランスシートをアグレッシブに広げている割には貸付内容もライバルのロイヤルバンク・オブ・カナダなどより良いです。

なお下はロイヤルバンク・オブ・カナダとトロント・ドミニオン銀行のEPS(一株当り利益)ならびにDPS(一株当り配当)をグラフにしたものですが、両行ともに金融危機前のEPSを超える水準に来ています。
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ということはそろそろ増配する余地があるということです。

カナダの銀行は利回り面でも余裕で3%を超えており魅力があります。