saudimilitary20_07_thumb噂されていた通りサウジアラビア国家警備隊がバーレーンに進軍し、戦略的に重要な施設を固めました。

名目上はGCC(湾岸協力会議)の要請を受け、「GCC軍」として治安維持のためバーレーンに進駐したことになっています。

しかし現実的にはもっと微妙なニュアンスがあることはアラブ世界に詳しい人なら誰でもわきまえています。

先ずバーレーンという国はシーア派が国民の7割を占める多数派です。ところが支配者一族はスンニ派であり、国民からは浮いた存在になっています。

それでも支配者一族が君臨していられるひとつの理由は支配者一族が近隣のサウジアラビア(同じくスンニ派です)からの後ろ盾を得ているからです。

その意味ではGCC(湾岸協力会議)自体もアラビア湾に面する各国の為政者の支配を強固なものにし、現状維持を強く働きかける反動的な存在です。もちろん各国のスンニ派のリーダーたちの利害が強く反映された存在となっているのです。

したがって「これはサウジアラビアによる他国の政治への介入ではない。ちょうど国連やNATO軍と同じ、超国家的見地からの派兵である」というこじつけにはムリがあるのです。

サウジアラビア国家警備隊はイラン・イラク戦争を長く戦った歴戦のイラク軍を蹴散らした、勇猛で訓練の行き届いた精鋭部隊です。それが米第5艦隊の母港であるバーレーンに配置されたということは見る人の立場によってはあからさまな侵略行為であり、かつ米国に対する挑発行為だという解釈にもなります。

つまり「NOと言えるサウジアラビア」を行動で示しているわけです。