今日のニューヨーク市場大引け前後の為替の動きはクレージーでしたね。

僕はいつも大引けにはウォールストリート・ジャーナルのライブ番組、『News Hub』を必ず観るようにしているのですけど、その冒頭でホストのサイモン・コンスタブルが「いま入った情報でペンタゴンが日本で救援活動に従事している米兵を問題の原子炉から80Km以内に入れないようにすると決めた」というニュースを読み上げました。(*)

「あっ!」

そう思った僕はすぐにヘッジファンド仲間のマーティーに電話しました。

僕:「マーティー、いまの観たかい?」
マーティー:「Yep. Gotta go.」

これだけで(ドルが溶けるぞ)というのを直感するには十分でした。

結局、今日のドル円の振幅幅はキャシー・リエンによると471Pip rangeで4.13%でした。これは歴代5位の荒々しい動きです。

実は米国政府が現在日本にいる米国人に原発から50マイル(80Km)離れることを勧告したというニュースはすでに大統領報道官などからザラバ中に伝えられており、その時点ではこの材料は相場を動かすちからを持っていませんでした。

なぜなら米国核規制委員会(US Nuclear Regulatory Commission)の基準に基づくこの勧告は日本政府が打ち出している20Kmという数字と余りに開きがあり、「米国人の民間人の安全を考えて、わざと厳しい基準にしたのだろう」くらいにしか受け取られなかったからです。



NRCはもともと日本政府とほぼ歩調を合わせる勧告をしていたのですが昨夜、原子炉の状況が悪化しているという認識を深め、敢えて退避範囲を拡大したのです。

これがニューヨーク市場の大引けに「米軍の要員にも適用される」と発表されたことから事態の深刻さが米国の投資家にもガツンと鈍器で殴られたように思い知らされると同時に、日本政府の見解とアメリカ政府の見解が真っ向から対立している現状が極めてアケスケに露呈したのです。

もとよりアメリカ政府には事態を取り繕ったり、希望的観測に満ちた現状判断を下す利害は一切ないわけですから投資家の大部分は(アメリカの方が沈着冷静に物事を見ている)という結論に到達するまでは数秒しかかかりませんでした。

影響地域の拡大はその範囲内に含まれてしまう住民に大きな不安を与えます。しかし逆の見方をすれば80Kmという数字は最悪のシナリオをも織り込んだ、最大範囲のラインがこれで確定したという意味を持ちます。それは不確実性がひとつ減った事に他なりません。

またいままで(いつ来るか、いつ来るか)と待ち構えていた円のメルトアップもこれで実際に起こってしまったわけです。その結果は怪物的なデカいリバーサル(=相場反転)です。

つまり相場的にも我々の心構えという面でもこれでひとつの区切りがついたと言えるのです。

平常心を取り戻す第一歩はすでに踏み出されたと言えるでしょう。



(*)=『News Hub』は現地の朝8:30AMと夕方4:00PMの2回ライブ放映されます。Ustreamみたいな簡易なウェブ・ストリームを利用したカジュアルな企画なのですが毎日、その日の出来事で最も重要な相場の材料をギュウギュウ詰めにした10分の番組です。この番組はウォールストリート・ジャーナルの有料購読者でなくても視聴できます。URLはwsj.comです。放映の1分前になるとウォールストリート・ジャーナルのホームページ上にこのライブ・スクリーンが自動的に現れる仕組みになっています。若し出なかったら何度も画面をリフレッシュしてみてください。