去年テスラ・モータース(TSLA)がIPOされたとき、スポーツカーと電気自動車というセクシーな組み合わせなのでこの株は人気が出ました。

僕のその当時の考え方は財務的にはこの企業には見るべきものは無く、「夢を買う」以上の何物でもないので敬遠したいというものでした。

テスラが乗り越えなければいけない経営上のハードルを列挙しただけなのに挙句の果てにはホリエモンからも「アントレプレナー精神が足らない」とコケミソに貶されました(笑)。

でその後の株価はこの通りです。
tsla

さて、チャラチャラした勘違いした連中が引かされ、投機熱がすっかり剥落した後のテスラは株のストーリーとしてはすこしマシになっています。(財務的には相変わらず醜悪です。)
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それではそのストーリーは何か?

まず去年とはぜんぜん違う水準に米国のガソリン価格が高騰しているということです。カリフォルニアのガソリン価格はガロン当たり$4.1まで来ています。

これはなによりも先ず電気自動車のストーリーにとって大きなプラスです。

次に最近、よく紹介しているシェールガスです。アメリカにはふんだんにシェールガスの供給があることがわかりました。

米国では天然ガスは工業用や発電用に使われます。すると原油価格が高くなっても安定的に電力を安い値段で供給できる環境が備わっているわけです。

このことは比較感でガソリンで走る自動車に比べて電気自動車の魅力が増すことを意味します。


テスラはEV(電気自動車)専門のメーカーで、2003年にイーロン・マスクという元ペイパルの創業者によって作られたベンチャーです。同社はたいへん新規参入の難しい自動車業界に敢えて殴り込みをかけています。
そのためには消費者が同社の電気自動車を買いたくなる、何か特別の理由が無くてはいけません。

そこで同社は写真のようなロードスターを開発することでアーリー・アダプターのファンを獲得したのです。
tesla_roadster_sport

現在、販売されている同社の商品はこのロードスターだけです。一回の充電で379キロ走行できます。

このほかにダイムラーとトヨタにEV部品を供給する契約があります。

ロードスターでは対象となるターゲット市場が小さいため、同社が企業として成功するためにはより一般大衆向けのセダンで成功する必要があります。そのため現在、テスラはセダンを準備中です。それが「モデルS」です。

「モデルS」は一回の充電で482キロ走行できます。

プロトタイプの走行試験は2010年から始まっています。2012年6月から量産の予定です。2013年には年間2万台を販売する事業計画です。現在の受注残は3500台です。

なお自動車産業のような資本集約的なビジネスで、しかもスケールメリットを最大限に生かせるトヨタやGMなどの大手メーカーが既にガッチリ市場を押さえている中で新しいベンチャー企業を興すのは大変リスキーです。

実際、初期投資費用が嵩むこと、売上高が僅かしかないこと、などから米国政府から長期にわたる低利の融資を受けたり、EV車への補助金が沢山でているにも関わらず、当分、黒字化の見込みはありません。

一株当りブックバリューは現在すでにネガティブですが、モデルSを発売するまでにはさらに沢山の費用がかかると思われるので2012年には一株当りブックバリューは-1ドルになると見られています。黒字化はたぶん2014年。

「モデルS」の出る初年度の売上高は7億ドル程度だと予想されています。
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繰り返して強調すれば、テスラは極めて投機色の強い銘柄で、財務的にはとても買える内容ではありません。しかしEVストーリーのど真ん中銘柄であることは事実。