カーシェアリングとは必要な時、必要なだけ自動車を「時間所有」するメンバーシップ(会員)制度のことを指します。

たとえばサンフランシスコやマンハッタンでは駐車場代がバカ高いので都心部に住んでいると自動車を所有することのメリットよりデメリットの方が大きい場合もあります。

でも時には自動車を利用しなければいけない用事が出てくるわけです。

そこで必要な時だけ自動車を「時間所有」するサービスとしてジップカーが登場しました。

ジップカーはレンタカーとは少し違います。

先ずジップカーの場合、年会費(60ドル)を払わなければいけません。

年会費を払えば、自分だけのICカードが送られてきます。

クルマの予約はウェブを使いおこないます。当然、iPhoneなどのスマートフォンからも出来ます。

だから「30分後に突然クルマを使う用事が出来た」という場合も出先からケータイで予約できるわけです。

クルマは都心のいろんなところにあるジップカー専用の駐車場(目立つ看板でマークされています)でピックアップすれば良いです。

自分の持っているICカードを窓ガラスの近くカードリーダーにかざすと自動的にクルマのロックが解除されます。

クルマのカギは車内にキーチェーンでぶら下がっています。だからカギを探す心配はありません。

ジップカーが使用しているクルマはミニクーパーなどをはじめとしたオシャレなクルマが多いです。これは好みの問題だと思うけれど、ファッショナブルなクルマばかりを用意することでジップカーのユーザー(「ジップスター(ジップ支持者)」というあだ名で呼ばれます)は流行に敏感な人たちだという、ある種のライフスタイルの主張になっているのです。
zipcar1



レンタカーだとクルマを返す時間を超えてしまうと、次の日のまる一日分の使用料をチャージされます。(ジップカーの返却遅延に対するペナルティ料金も実はかなり高いです。)

またレンタカーのカウンターが開いている時間だけしか返却が出来ません。

ジップカーの駐車スポットは沢山あるので、自分にとって都合のよいピックアップ・返却場所を選びやすいです。これに対してレンタカーは空港やダウンタウンの特定の場所など、カウンターのあるところが限られています。

現在、ジップカーの会員は56万人います。

潜在市場は約1000万人だと会社側は見積もっています。

ジップカーのビジネス・モデルは、1.都市化、2.賢い消費者、3.セルフ・サービス、4.ペイ・パー・ユース、5.エコ、などのトレンドに適合したものです。

2010年の同社の年間売上高は1.86億ドルでした。会社側では潜在市場は100億ドルだと見ています。

メンバーシップは年率66%で成長してきました。
1

売上高は年率68%で成長してきました。
2

同社がサービスを展開できる都市の必要条件としては人口が多いこと、駐車場代が高いこと、バスや地下鉄が発達している町の方が良い(=それらが全く揃ってない町では常にクルマを所有していないとそもそも生活できないから)、などになります。

さて、経営の観点から主なデータ・ポイントを紹介すると、新しいメンバーを受け入れることでかかる費用は42ドルです。

そのメンバーが5年間のメンバー期間に費やするお金は428ドル(年間)です。

売上高の内訳はメンバーシップ・フィーが17%、残りの83%が使用料です。

ジップカーは新車を約2万ドルで購入し、ひと月の一台当たりの収入は2000ドル、維持コストはひと月1000ドルとなります。

平均して2.5年後に使用後のクルマを売却すると1万ドルの下取り価格となります。

マーケティング費用は50メンバー当たり2200ドル。

これらに基づいた投資リターン(IRR)は39%となります。

なお、上のIRRはファイナンシングをしていない数字であり、実際にはオペレーティング・リースなどのファイナンシングをかけてやるわけで、ファイナンシング込みのIRRは72%となります。

ジップカーのティッカー・シンボルはZIPを予定しており、上場は(ティッカーが3文字ではありますが)ナスダックとなります。

幹事はゴールドマン・サックス、JPモルガン、カウエン、ニーダム、オッペンハイマーです。

ディール後発行済み株式数は3861万株、今回発行株数は833万株、初値設定は14から16ドル、値決めは4月11日の週です。