硬派の長期投資シリーズ今週からアメリカの株式市場は決算シーズンに突入します。

毎期の決算で或る会社がちゃんと売上目標を達成しているか?それとも裏で結構苦労して数字をひねりだしているかを見分ける方法について今日は書きます。

この概念のことをリニアリティー(Linearity)といいます。

リニアというのはリニアモーターカーのリニアから来ています。つまり直線的という意味です。

いまある会社の四半期売上の概念図を描いてみました。下の→が1月、2月、3月という各月の進んでゆく様子をしめしていて、上の赤線が売上高の推移だと思ってください。
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理想を言えば売り上げというのは毎月コンスタントに出ているのが良いです。つまり定規で右肩上がりの線を引いたような形が好ましいわけです。

でも実際には多くの会社が四半期末ぎりぎりになって「エイヤァ!」と無理して数字の格好をつけるというケースが多いのです。上の概念図の中で赤の線が最後のところで「ヨイショ」と持ち上がっている点に注目してください。

ハイテク企業で比較的製品単価の高い商品を作っている会社ではこのような傾向がしばしば見られます。こういう風に四半期末とか年度末とかに追い込みをかけて、最後に売上高がぐいっと伸びることを英語ではホッケー・スティックと言います。つまりアイスホッケーのスティックみたいに最後がぐいっと曲がっている形です。

一般論で言えばこのような売上パターンが常態化している企業は悪い会社です。

なぜなら万が一、最後の「エイヤァ!」っていう頑張りをしなければいけない時に何らかの理由で売上が伸びなかったら、営業目標を大幅に下回るリスクがあるからです。

「貯金が少ない」と言い直すこともできるでしょう。

ホッケー・スティックで最後の追い込みをかけ「エイヤァ!」と数字を作った場合、P&L、つまり損益計算書で見る限り、ちゃんと予想を達成できているように見えます。

でも期末に駆け込みで売った分についてはお客さんは当然すぐに支払いして呉れませんから、売掛金が多く残るわけです。

するとバランスシート上の売掛金の残高のところが膨らむということが起きます。つまりP&Lでつく嘘はバランスシートで見抜ける場合があるということです。

空売りを得意とするヘッジファンドなどはこのバランスシートの売掛金の動きを特に注意深く観察します。

そこで皆さんに知っておいて欲しい言葉がDSOという言葉です。DSOとはデイズ・セールス・アウトスタンディング、つまり売掛金の回収に要した日数です。これは売掛金の残高を一日平均売上高で割り算した数字です。

当然、この数字は小さければ小さいほうが良いです。また、前期と比べて今期のDSOが増えているか減っているかを比較するようにしてください。折角、コンセンサス予想を達成している企業でもDSOが増えていたら「あ、こいつ無理したな」というのがわかるわけです。

ポイント
1. DSOが恒常的に多い(90日以上)企業は要注意
2. 決算で事前予想をクリアしていてもDSOが増えていたら×


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硬派の長期投資シリーズ 銘柄選択編 なにをポイントに選ぶか? キャッシュフロー(その3)

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