長期投資をすればマーケット・タイミングを間違うことからくる不利益を軽減できることができます。

言い換えれば買いタイミングの下手さはその株を長期で持つのならば比較的問題にならなくなるわけです。

また短期売買を繰り返すことで取引コストばかりが増えてしまうことを回避するというのも長期投資のメリットです。

しかし「長期投資だからどんな株を買ってもよい」というのは主張が単純すぎると思います。

なぜなら健全な投資対象を選ぶことではじめて長期投資のメリットが本当に享受できるからです。

言い換えれば世の中には株主価値をぶち壊している駄目な会社がゴロゴロあるということです。

そんな駄目会社に「いのち預けます」式に自分の大事な資金を長期に渡って託したら、何されるかわかったものではありません。

そこで長期投資のコミットメント(投資の決断)をする前に、自分が投資しようとしている投資相手の投資適格性をチェックしてみることをお勧めします。

さて、そう言うと「わかってる、わかってる。PERの安い株を買えばいいわけでしょ?」とか「業績が良い銘柄を買えばいいわけでしょ?」という反応が返ってきます。それらは確かに正解なのですが、若し皆さんが5年とか10年、ある銘柄をBUY&HOLDするつもりならばそれだけでは不十分です。

そこで長期に渡って会社の価値を堅実に育むことが出来たかどうかのトラック・レコード(実績)にも少し注意を払うべきだと思います。

それでは一体、なにを持って長期での企業価値を伸ばせたか?の尺度とするかですが、僕の場合は一株当り純資産(BPS)をチェックします。

純資産とは「資産」から「負債」を差し引いた額です。それを発行済み株式数で割り算したものが一株当り純資産になります。

これは「いつこの株を買うか?」というマーケット・タイミングを測る尺度としての利用価値は低い気がします。

しかし超長期で一株当り純資産の推移を観察することでその企業の累積的な留保の積み上げなど、経営の巧さ、手堅さを推し測ることができるのです。

そこで下のグラフではごく一握りの企業の一株当り純資産の推移をサンプルしてみました。
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これを見るとソニーは1995年から2010年までにBPSを2.55倍にしていることがわかります。

トヨタの場合は2.93倍、キャノンの場合は4.02倍になっています。

アップルの場合は8.84倍と素晴らしいのですが、よく見ると90年代の後半はむしろ一株当り純資産を溶かしており、97年には95年の0.37倍まで企業価値を壊していたことがわかります。

アパッチ(ティッカー:APA)というのは米国の独立系石油探索・生産会社ですが、原油価格が高い時も安い時も着実に会社の資産価値を高めていることがわかります。