クラウドの分野で極めて重要な企業がIPOします。
それはフュージョン・アイオーです。

同社の製品はフェイスブックやアップルなどの最先端データセンターを駆動しています。

アップルが巨大なデータセンターを作り、サービスの大半をクラウドに移していることはiTunesなどのユーザーは良く知っていると思います。

つまりデータセンターの優劣がアップルやアマゾンなどのネット関連企業の新ビジネス創造能力を決定付けるわけです。

このためパフォーマンスにこだわるユーザーは莫大な先行投資をデータセンターに投下します。

その中でもとりわけ高価なのはEMCに代表されるストレージです。


企業向けストレージ市場は300億ドル市場と言われますが、そのうちの200億ドルは所謂、「パフォーマンス・ストレージ」、つまりスピードがいのちのハイエンド市場です。

ところがそれらのストレージの大半は実際にデータを処理している時より、待機している時間の方が遥かに長いです。

それでもカネに糸目をつけず、EMCなどの製品を買ってきた理由はサイトが遅いとネット企業としてはシャレにならないという一言に尽きます。

いまネットを通じて世界でやり取りされているデータの成長速度は毎年50%だと言われています。しかしでもデータセンターに割り当てられる予算は無限ではありません。

するともっと効率の良い方法でデータセンターの稼働率を上げる必要が出てくるのです。その解決法の決定版だと目されているのがフュージョン・アイオーの「アイオー・ドライブ」です。

「アイオー・ドライブ」は先ずNANDフラッシュを使って、今までEMCのディスクアレイが果たしていたストレージ機能をミニチュア化しました。
フュージョンアイオー

そしてそれを一か所ではなく、個々のサーバのマイクロプロセッサに直結させることで「分散型ストレージ」のアーキテクチャを採用したわけです。

すると単純化すれば「サーバのマイクロプロセッサの数だけストレージが点在する」ことになるので、それを全体としてどうマネージするかが頭痛の種になります。

フュージョン・アイオーはこのためマネージメント・ソフトウエアを開発しました。とりわけこのようなアーキテクチャ(=ディレクト・キャッシュと呼ばれることもあります)では「どのデータがホットか?」を判定することが重要となります。

フュージョン・アイオーはいろんな意味である種のカルト的な存在になっています。

その理由の一つはアップル、フェイスブック、ゴールドマン・サックス、ザッポスなどの企業が同社の製品を積極的に採用することでこれまでのデータセンターに対する固定観念を超えた設計、将来のサービスの提案などを企てていることによります。

つまり「ヘイロー・イフェクト(後光効果)」です。

もうひとつはアップルが創業された際、スティーブ・ジョブスの相棒だったスティーブ・ウォズニアックが取締役に名を連ねている点です。(尤もウォズニアックのいろいろなベンチャーが全て成功であったわけではないことを付記しておきます)

同社の売上高は爆発的な成長を見ていますが、これはごく一部の顧客のデータセンターの設備投資計画のタイミングによって左右されている面が強く、売上高は「団子」になりがちです。
1

またOEMモデルという同社のビジネス形態は強烈な成長を実現しやすい一方でOEMならではの注意点(=最終需要の正確な把握など)が存在すると思います。

また納品のアクセプタンス(=検収)や在庫など、OEMモデルを採用する企業が直面しやすい問題に関しては同社の場合も注意する必要があると思います。