眼鏡が発明されたのは今から700年も昔です。

しかし今アメリカで眼鏡を買おうとすると安いものでも4万円くらいします。

なぜたかがメガネごときがiPhoneと同じくらい高価なのか?

ペンシルバニア大学ウォートン校のMBAプログラムで学ぶ4人の仲間はこの素朴な疑問を追及するところから新しいビジネスを起業しました。

それは一律95ドルでサイコーにカッコイイ眼鏡を売るオンライン・ストアを展開するというアイデアです。

しかもひとつのメガネを売るごとに、自動的にひとつのメガネを低開発国の貧しい人々にビジョンスプリングなどのチャリティ団体を通じて寄付することを決めました。

Warby Parker(ウォービー・パーカー)はこうして去年の2月15日にローンチされ、既にザッポスのようにカルト的なオンライン・ブランドとして信奉者が続出しています。

それではなぜ一般の眼鏡は高価なのでしょうか?

これは世界のメガネ市場がイタリアのルクソティカ(ティッカー:LUX)という大企業によって寡占化されているからです。(ルクソティカは昔、幹事関係があった企業なのでその企業戦略を僕は熟知しています。)


ルクソティカはちょうどロックフェラーがスタンダード石油を通じてガソリンを独占したように、眼鏡の製造から流通までを全部支配し、価格を吊り上げています。

眼鏡にはDKNYとかポロ・ラルフローレンなどいろいろなブランドがありますが、実際にはそれらのファッション・ブランドは眼鏡をデザインしていません。

デザインは零細な下請け業者にアウトソースされています。

ルクソティカはブランドの使用料を払い、デザイン下請には僅かなコミッションを払うことでそれらのブランドのメガネを製造・販売します。

レイバン、オークレーなどのメガネ専門ブランドもルクソティカの傘下企業です。

さらにルクソティカはレンズクラフターズやサングラスハットなどのショッピング・モールにある眼鏡店も傘下に収め、流通を完全に支配しています。

こうしたルクソティカによる独占を打破するためにはそれらを全て迂回しなければいけないのです。

ウォービー・パーカーはオンラインで直接消費者にメガネを売ることでそれを実現しました。

メガネをオンラインで買うということは消費者の抵抗が強いです。

しかしウォービー・パーカーはそれを独創的な解決法で克服しています。

まずウェブサイトで顔型認識ソフトウエアを通じ、バーチャルに試着するサービスを備えました。

そして顧客は自分が実際に試してみたい5つのメガネ・フレームを選ぶとウォービー・パーカーはその5つをセットにして箱詰めし、郵送します。

顧客はそれを自宅で試し、ガールフレンドやボーイフレンドや友だちの意見を聞いて、一番良いフレームを選ぶわけです。

そして全てを送り返します。

さらに顧客は眼科医で自分のプリスクリプション(処方箋)データを貰い、PD(両目の眼孔の距離)など、正確にレンズを加工するのに必要なデータをウェブで入力します。

(なおアメリカではPDのデータを欲しいと眼科医に言うと中にはそれを拒否する医者も居ます。なぜなら眼科医とメガネ屋は結託していてメガネを売ることのバックマージンで眼科医は儲けているからです。下のビデオはビデオ・ブロガーが自分の経験を語っているものですが、彼女の場合、ウォルマートのメガネセンターに行って無料でPDを測ってもらったと語っています。)

なおウォービー・パーカーという名前はジャック・ケルアックがその日記の中で次の小説の主人公として構想を温めながら実際には使用しなかった登場人物の名前の中から選んだのだそうです。