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ドットコム・バブルから15年経ち、皆すっかり成長株の「相場の張り方」を忘れてしまっているように思います。

昔話になりますが、未だシスコがスリーコムより小さい企業だった頃、シスコのインベスター・リレーションズの方と雑談していて、(なるほど、テクノロジー株への投資というのはむずかしいんだな)ということを痛感した事があります。

僕:「やっぱルーセントはベル研だから手強いよね」
ランディ:「ルーセントなんてクソよ。こわくも何ともないわ。大きくても愚鈍な企業に注意を払う必要はありません。本当におそろしい敵は豆粒くらい小さくても、物凄い速度で進化(evolving)している企業よ。まあ、喩えて言えば隕石ね。」
僕:「と、いいますと?」
ランディ:「隕石は遠くにあると小さく見える。でもものすごいスピードで接近してきて、気がついた時にはもう手遅れ、衝突よ。バァーン!ってね。」
僕:「、、、、、、」
ランディ:「だから動きの良い敵は小さいうちにどんどん買収してひねり潰しておく、、、」
僕:(こわーっ)
グルーポンについてはMarketHackでは比較的早くから紹介しました。良い点だけでなく、悪い点についても何度も書いています。

この会社の最も重要な特徴は進化の速度が速いという点です。

おせち事件で失敗したかと思うと、もうすでにその失敗の原因となったグループ購入という概念自体を自ら時代遅れにするような革新的な手法(=Groupon Now!)を編み出しています。

その過程で従来の「営業力イッパツ!」的な粗野なアプローチはロケーション・ベースト・サービスやAR(仮想現実)などの技術を取り入れてどんどん洗練、高度化しています。

CEOのアンドリュー・メイソンがウォールストリート・ジャーナルの「オール・シングスD」カンファレンスで強調していたことは「グルーポンは今後、よりテクノロジーの利用を強調した戦略を打ち出してゆく」という点です。


またグルーポンは今までテクノロジーの業界が軽視してきた、営業の側面やマーケティングの側面に関してもいろいろ工夫を重ねています。

例えばグルーポンにサインアップした際、利用者が毎日受け取るメールひとつにしても工夫がされています。

メールといえば我々は「迷惑メール」をすぐイメージし、なんだか前時代的なものを感じますけど、グルーポンは送り出すひとつひとつのメールを丁寧に創作します。具体的にはユーモアを交えた、おもわず読ませるメールを送ることで受け手が反射的に「消去」ボタンを押さないように工夫しているのです。

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(むかし、シカゴはモンゴメリー・ウォードやシアーズ・ローバックなどのカタログ・マーケティングの本山でした。ウォード・カタログを人々は「宣伝」という風に受け止めるのではなく、「読み物」として楽しみました。或る意味、グルーポンはそういうシカゴの商業界の伝統をしっかり受け継いでいるともいえます。)

このためグルーポンは400人ものコピーライターを雇用しており、その多くはシカゴに住む脚本家のタマゴとかコメディアンを目指す若者など、舞台芸術関係者です。

このためグルーポンは地元の大新聞、シカゴ・トリビューンより多くの編集スタッフを雇用しているのです。

これは言い換えれば同社が広告代理店機能をどんどん充実させていることを意味します。

これまではインターネット・マーケティングといえば「どうすればサーチ・エンジンに上手く引っ掛かるか?」式の最適化のアドバイスがコンサルタントのコンピタンスでしたが、今はそのような手法は古色蒼然としてきています。

「受動的にグーグルの奴隷になるのではなく、どうやって中小企業でも攻撃に打って出るマーケティング・キャンペーンを展開できるか?」

その作戦参謀としてグルーポンの営業マンの知恵を借りる商店主が増えているのです。

なぜグーグルがグルーポンを60億ドルで買収しようとして、アッサリ断られたか、これでわかると思います。