ドミニク・ストロスカーン前IMF専務理事がレイプ容疑で逮捕され、「後釜をだれにするか?」という問題が持ち上がった時、自ずと候補として名前があがったのはフランスのクリスティーヌ・ラガルド経済相でした。

ラガルド経済相はとてもしっかりした女性なのでIMF専務理事に適任なのは誰からも異存のないところだとは思いますが、IMFの人事は政治的にドロドロしたプロセスであり、一筋縄ではゆきません。

BRICsをはじめとした新興国からは「次のIMF専務理事は新興国から出せ」という大合唱になりました。

でも彼女がFacebookとTwitterのアカウントを開設し、IMF専務理事に向けてのキャンペーンをはじめたところで雪崩的に支持の輪がひろがり、結果的には彼女が苦も無く「寄り切った」カタチになりました。


いまどきの優秀な人はウェブによる発信力を活用しているし、ウェブを使っていなかった人でも本人に発信するだけの実力があればすぐにオーディエンスとconnectできる、、、そのパワーをラガルドは見せつけたわけです。

結果として得体の知れない舞台裏での駆け引き(backdoor politics)とか、そういうブルシットは一瞬のうちに霧散してしまいました。

IMFのような「奥の院」ですらこのようにケンカの戦い方が激変しているわけですから、われわれの日常でも今後はどんどんウェブ力が問われるようになると思います。それを「ソーシャルグラフ」と呼ぶ人も居るし、もっと別の呼び方をする人も居るでしょう。

この際、どんなレッテルを貼るかはどうでもいい問題です。

大事なのはこれから雇用慣行や転職の仕方、仕事の進め方などが大きく変わるということなのです。

それではウェブ力とはなにか?ということですけど、これはウェブでのプレゼンス(存在感)です。間違ってもウェブを使った情報収集力ではありません。ウェブを使った情報収集がそれを実行する個人に競争優位をもたらした時代はとっくの昔に終わりました

今はウェブ上にどれだけ自分のプレゼンスを押し出してゆくか?という事だけが問題になりつつあるのです。

だからこそFacebookは実名主義なのだし、そもそも匿名では何のメリットも無いのです。

ウェブ上にプレゼンスがあれば、それは有形無形なメリットをもたらします。プレゼンスが無ければ、あなたは貧農と一緒です。

ウェブ上で一定のプレゼンスを勝ち得た人はレコグニッション(=認知される)という新しいカレンシーを手に入れます。

カレンシーというのは通貨の意味ですが、まあ、いわばカジノのチップみたいなものです。そのチップを使って転職に生かすのも良し、ビジネスに生かすのも良し、要は工夫次第でレコグニッションは何にでも化けるのです。それをネット・ビジネス風に言えば「マネタイズする」と言い直しても良いでしょう。

すると個人の名前そのものがブランド化するわけです。

たとえば「津田大介」とか「池田信夫」とかはこれはもうひとつのブランドです。

そうやってブランドが確立してしまえばあとは何をやったって食って行けるようになります。つまりある種の「ネット貴族」と化すわけです。