先日スタンダード&プアーズがギリシャの銀行の格付けを引き下げました。

その背景には小口預金の引き出しが止まらないことがあります。

小口預金はコア・デポジットと呼ばれることもあります。なぜそれが「コア」かといえば普通、庶民の預金は一度預けられると長く銀行の口座に預けっぱなしにされることが多く、銀行の立場からすれば低コスト(つまり消費者にとって利子が低いことを意味します)でなおかつ安定している、いわば最上のお客さんだからです。

従ってそのコア・デポジットがどんどん減り始めると銀行経営はとたんに不安定になります。いまギリシャの銀行で起こっていることはまさしくそれです。



ギリシャの銀行に預けられた小口預金は2010年に280億ユーロ(同国の預金総額の12%に相当)が引き出された後、今年も1月から4月の間にさらに130億ユーロが引き出されました。

これは若しギリシャがヘアカットを伴う債務再編をした場合、ギリシャの銀行が危なくなると一般の庶民が感じ始めていることを示唆していると言えます。

ところでギリシャのコア・デポジットを巡る環境はメキシコやアルゼンチンが通貨危機に見舞われた時とは少し異なります。

それはギリシャの場合、共通通貨ユーロを使っているという点です。

だからメキシコやアルゼンチンのように自国通貨が暴落する恐れはありません。

それにも関わらずギリシャの銀行から預金を引き出す者が後を絶たないということは預金者はギリシャ国債がヘアカットされた場合、ギリシャの銀行の経営がおかしくなると考えていることを意味します。あるいはギリシャ政府が共通通貨ユーロの使用を止め、昔の通貨、ドラクマに戻すというシナリオを織り込み始めているのかも知れません。

そのシナリオ下では消費者が生活防衛するための正しい対応策としては1.海外の口座にお金をシフトする、2.お金を持ちだせない場合は金(ゴールド)などの実物資産に換える、などが考えられます。