ベンチャー・キャピタリストのフレッド・ウィルソンがフェイスブック上でのアプリを開発しようとしているスタートアップ企業に対して日頃与える忠告は:

Don’t be a Facebook bitch. Be your own bitch.
フェイスブックの妾になるな。独立した悪女になれ!


ということです。

ここで問題となる単語はbitchです。
普通、雌犬(めすいぬ)、嫌な女性、あばずれ女、という意味です。

それがFacebook bitchとなれば、「フェイスブックのおんな」、つまり囲われ女になるわけです。

以前のエントリーで書いたようにジンガの財務内容はかなり立派です。

しかし若し同社に問題があるとすればFacebookとの関係が最も問題になる部分だと思います。



Facebookは自社のソーシャル・ネットワーク上でアプリを開発、運営するデベロッパー企業を奨励しています。別の表現をすればプラットフォームを公開しているわけです。

これは何もフェイスブックに限ったことではなく、アップルならiPhoneのアプリを提供する会社も同じような境遇にあると言えるでしょう。

するとフェイスブックやアップルは「プラットフォーム・カンパニー」、ないしは「プラットフォーム・クラウド」と呼ぶことが出来ます。

プラットフォーム・カンパニーは自社のサービスや製品を強力にプッシュするために手取り足とり独立系のデベロッパーを指導してアプリを作ることを奨励します。

しかしその本当の目的はアップルであればより多くのiPhoneを販売することが目的であり、フェイスブックであればより長い時間、ユーザーがフェイスブックに滞在し、広告収入やバーチャル・カレンシーからの収入を最大化する点にあります。

つまり彼らはそれらのデベロッパーにとって常に「天使」のような優しい存在であるとは限らないのです。

アップルがiCloudを発表したとき、独立系のデベロッパーが飯の種にしてきた一部のサービスやファンクショナリティーをアップル自身が提供に乗り出した事で、会場に集まっていたデベロッパー達が「はっ」と息を呑み、重苦しい空気が流れたことは記憶に新しいです。

このようにある企業のプラットフォームに全面的に依存したビジネス・モデルを持つ企業は究極的には「ワタシの旦那様」にはしごを外されたらオワリなのです。

ジンガの場合、この「妾の立場」からくる苦しさはアジャステッドEBITDAに如実に表れています。
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これを見ると2010年からジンガのアジャステッドEBITDAの成長率が鈍化しています。

この理由としてエリック・エルドンは「フェイスブックがノティフィケーションをやめた頃を境にジンガのアジャステッドEBITDA成長のペースが鈍化した」と指摘しています。

また今年の第1四半期には課金に際して「フェイスブック・クレジット」の全面採用により売上高成長が鈍化したことがS-1に出ています。