南米の国、ウルグアイの農地の最大の地主、ユニオン・アグリカルチャー(ティッカー:UAGR)がニューヨーク証券取引所にIPOします。

同社は2008年にウルグアイの農地を買収し、その農地で穀物を生産し家畜を飼うことを目的に設立された新しい会社です。現在までに8.4万ヘクタールの土地を取得しています。

同社は既に殆どの農産物の生産者として同国でナンバー・ワンの地位にあります。しかし今後の成長余地は極めて大きいです。

ユニオン・アグリカルチャーの経営哲学は「農業は最も理想的な自然環境に恵まれた土地をエコノミー・オブ・スケールが実現できる規模で開拓した生産者が競争優位に立つ」というシンプルな考え方に基づいています。

ウルグアイはアルゼンチンとブラジルの間に挟まれた国で、その国土の殆どが平野です。土地は肥沃で肥料の必要は低いです。また水がたいへん豊富で水利権も地主に帰属します。

ウルグアイの農地は交通のアクセスが極めて良く、農産物の出荷が容易です。

ウルグアイは農産物への税率が低いし輸出税はありません。

同国は南米で外国人が農地を取得できる唯一の国で規制が少ないです。その理由は同国の
人口は僅か350万人ですが1億人を喰わせることができるだけの農産物の生産能力があるからです。

従ってどうやって輸出ポテンシャルを最大限に引き出すことがウルグアイ政府にとって重要なことであり、食糧の自給はそもそも問題にならないわけです。農地をめぐる政治リスクが低いのはそのためです。

こうした背景から同国の農業生産物の95%は輸出市場へ回ります。また多くの作物で世界で最もローコストの生産を実現しています。


それにもかかわらずウルグアイの農地はアルゼンチンやブラジルより割安に放置されています。典型的なウルグアイの農地は5000ドル/ヘクタールで取引されており、ブラジルやアルゼンチンの7000ドル/ヘクタール、米国の10000ドル/ヘクタールより安いです。このことは今後、農地価格は上昇する可能性があることを示唆しています。

同社は設立当初より米国の大手投資信託会社であるウエリントン・マネージメントやコロンビア・ワンガーなどの機関投資家の出資を得てきました。従って最初から米国流のコーポレート・ガバナンスに基づいた経営をしています。

同社は農業ノウハウに加えて経営ノウハウ、財務ノウハウなどを持ち込み、旧式の農業経営を効率化することでより高い投資リターンを目指します。

2008年に創業した会社であり、取得した農地の大半が未だ取得後1年経っていないので、現在のところそれらの農地の20%だけがフル操業状態になっています。これを今後80%程度にまで持って行くことで売上高の伸長を目指します。(=現在のP&Lは赤字です。)

同社のCEOはウルグアイの元陸軍大将で自分自身も農家の出身者です。同社はクラスター方式で農地を経営し、それぞれのクラスターの責任者を「司令官」として配置し、経営を任せます。つまり農業のノウハウと陸軍の統率システムを融合させた経営スタイルになっているわけです。

一か月に一回、クラスターの「司令官」たちを作戦会議に招集し、農業機械の融通や作付のストラテジーなどに関して情報交換します。また同社はITシステムを導入することで効率化を図っています。

同社が土地を取得する際、売り手の抱える問題(例えば農家の主人が死んだなど)を解決しているかどうか?が鍵になります。つまり小作人がパートナーとして残れるような土地取得方法をしないと上手くその土地のポテンシャルを引き出すことは出来ないという価値観を持っているわけです。そして土地取得後、効率化経営手法を導入するわけです。

FAOによるとウルグアイには1420万ヘクタールの開墾可能な農地が存在しますが現在開墾されているのはそのうち170万ヘクタールのみです。後は放牧などに使われています。従って土地の供給力は大きいです。

同社は既に14.5万ヘクタールの買収予定地を特定している。これはウルグアイの全農地の1%に相当します。

【IPOデータ】
幹事構成:クレディスイス、JPモルガン、イタウ、ウエリントン
ティッカー:UAGR
上場:NYSE
今回発行株数:1428万株
初値設定:13から15ドル