ギリシャ救済第二枠の実施にあたり、どういう枠組みでギリシャを助けてゆくかの基本方針が今、ブリュッセルで議論されていますが、その情報が一部マスコミにリークしています。

マーケットはこれを受けて動いています。

ユーロは高く、欧州銀行株はラリーしています。

そこでこれまでに断片的に伝え聞かれている事を整理します。

先ず印象としてはギリシャの負債は雪だるま式に増える方向ではなく、圧縮する方向で各国が支援の手を伸ばしている様子がわかります。言い換えれば負債を減免する方向だということです。

またギリシャの負債の金利を下げる方向で議論されています。これまでの欧州連合からの救済に際する金利は5.5%でしたが、これを3.5%程度にする雲行きです。

さらにギリシャの債務の平均償還期限を現状の7.5年から少なくとも15年に延ばす方向で検討されているようです。これもプレッシャーを先送りするという意味では良いと思います。

またEFSF(欧州金融安定化基金)にギリシャ債務再編の中心プレーヤーの役割を与えるという方向で物事が動いています。これは「堪え性のない」ECB(欧州中央銀行)がその任に当たるより「より適任である」と言えるでしょう。

このためEFSFはセカンダリー・マーケットでの介入も出来る権限を与えられる模様です。


一方、民間金融機関は債券交換、ロールオーバー、買い戻し、のメニューの中からギリシャ国債の処分方法を選べることになりそうです。

債券交換には選択的デフォルトがつきものですので、これは選択的デフォルト(債務不履行)を実質的に容認することを意味します。

なお、選択的デフォルトとは特定の債務に関しては利払いや元本の満額返済が出来ないけれど、全体としては債務返済の努力を続けるという意味です。

以上はいずれも伝聞の段階です。従って最終的に発表される内容とは相違があるかも知れません。

【ポイント】
先ず印象に残ったのはフランスとドイツの結束は固く、欧州中核国がより大きなコストを払ってでもユーロ・レジームの維持する堅固な決意を示したという事です。

サルコジ大統領とメルケル首相の個人的なパートナーシップは健在であり、それが全てのディスカッションのバックボーンを提供しています。

次にギリシャの負担は増大するのではなく軽減される方向へ向かっているという点も重要です。ギリシャの現在の支払い能力に鑑みてこれは現実的かつリーズナブルな解決法と言えます。

ドイツは選択的デフォルトと「民間金融機関にメニューの中から選ばせる」という手法を盛り込むことでかねてから表明していた「民間の参加(=つまり痛み分け)」という念願が叶います

欧州中央銀行(ECB)は自己資本が貧弱なのでリスクに対する耐性が無く、今回は「お役御免」という事でEFSFに「最後の買い手」の立場を譲り、矮小化された存在へとダウングレードされました。