インドのタタ・モータースは超低価格車、『ナノ』で有名ですけど実は同社で最も儲かっている部門はJLR(ジャガー・ランドローバー)部門です。

タタは2008年にJLR部門をフォードから買収しました。

この買収を発表した当時は「これから世界の景気が悪くなる兆候があるのに、なぜ今のタイミングで高級車のビジネスを買うのだ」と批判する声が強かったです。

しかしJLRのビジネスは力強く回復しており、タタ・モータースの売上成長率に著しい貢献をしています。

下は世界の主要自動車メーカーの売上高を2006年を100として比較したものです。
1

2007年から2008年にかけての売上成長は新しくJLRが加わったことから来る、一回きりの増収です。しかしそれ以降の売上成長は小さな買収がいくつかあるものの大体オルガニック(自然)な成長だと言えます。

実際、タタ・モータース本体の売上成長率は+20%台ですがJLRの売上成長率はそれより遥かに高いです。

JLRが好調な理由は先進国の景気が回復していることに加えてジャガーの商品ラインナップが若いことが挙げられます。

実際、タタ・モータースの経営陣はフォードが大金をつぎ込んでJLRの工場の設備一新を図り、さらに一連の新しいモデルの開発をほぼ完了したときに景気サイクルのボトムでJLRを「持ってけ、泥棒!」的な値段で買収したわけです。

現在の主要自動車会社各社の営業マージンは下のグラフの通りです。
3

タタ・モータースの一株当たり利益(EPS)と一株当たりキャッシュフロー(CFPS)の推移は下のグラフの通りです。
2

同社の株価は主にインド市場のセンチメントによって左右されます。今はインド準備銀行がインフレ退治に躍起になっているので「利上げは自動車販売にマイナスだろう」という投資家の思い込みからタタ・モータース株は売られています。
ttm

現在の同社のPERは6倍台ですが、今年の11月からはランドローバーの『エヴォーク』が欧州市場で売り出されます。

『エヴォーク』に関しては「魅力的なクルマだけど、コンパクトすぎる」という評価です。

確かに米国市場では余り成功しないかも知れません。

しかし歴史的にランドローバーの売上の6~7割は英国ならびに欧州市場から来ており、『エヴォーク』も欧州市場を念頭に置いた商品設計になっているので狭すぎるというのは余り問題にならないかも知れません。

タタ・モータース株は1.『エヴォーク』が成功し、2.インドの利上げサイクルが一巡したらかなり上昇が期待できそうです。