債務上限引き上げ問題が迷走しています。

現時点では当初オバマ大統領が提唱したような大規模(=4兆ドル程度)な予算圧縮を実現する法案が成立する可能性はゼロと言っていいでしょう。

つまり「当座の時間稼ぎを目的とした暫定的な案」だけが残っているわけです。これには2つの案があります。

【下院共和党案】
下院共和党は向こう10年で1~1.5兆ドルを圧縮するプランを本日午後2時頃に披露する予定です。

この法案では来年1月までのファンディング・ニーズしかカバーできません。

この案は順調に行けば水曜日に票決に付される見込みです。

【上院民主党案】
一方、上院民主党は向こう10年で2.7兆ドルを圧縮するプランを考案中です。

こちらの案では2012年11月の大統領選挙まで予算的には何とかやりくりできる計算になります。

上院民主党リーダー、ハリー・リード議員は同案の採択される可能性について「現時点では悲観的だ」という談話を発表しています。

【米国の長期ソブリン格付けトリプルAはく奪の可能性について】
上記のいずれのプランが採択されてもかねてから格付け機関が「トリプルAを堅持するために必要だ」と主張してきた4兆ドルの圧縮にはほど遠いです。

これは仮に8月2日の期限までに債務上限引き上げへの合意が達成できたとしても長期ソブリン格付けのダウングレードのリスクが去らないことを意味します。

【8月2日が来たら、どうなる?】
さて、8月2日までに債務上限の引き上げが出来なかった場合のシナリオですが、このところの米国の税収は予定を少し上回っているので8月2日以降も「数日間はやりくりできる」と言われています。

重要でないと思われる政府の支出項目から順番に支出をストップすることで暫くはデフォルトを回避できるという意見も聞かれます。それでは「重要でない支出項目って、一体何だ?」ということですけど例えばワシントンDCの観光スポット、ワシントン・モニュメントを休館するというようなイメージです。