グーグル(GOOG)がモトローラ・モビリティ(MMI)を125億ドルで買収します。
司法省から反トラスト法に違反しないというOKをもらう必要があるので買収が完了するのはたぶん2012年に入ってからです。

今回のディールは様々な疑問を投げかけています。

まず誰もが考える事は「アンドロイドのオープン・システムが今後以前ほどオープンでなくなるのか?」という問題です。

また「他のアンドロイド・ハンドセット・メーカーはどう反応するか?」ということも気になります。

これらの疑問に対する僕の現時点での考え方は、そもそもグーグルはアンドロイドを出来る限り多くのスマートフォン・メーカーに採用して欲しいと願っているわけですからビジネス・パートナーを疎外するような行為は慎むだろうという事です。

グーグルのモトローラ・モビリティ買収の目的は最近激しさを増している一連のパテント訴訟でグーグルが他の企業と互角で戦えるようにするところにあります。

グーグルは携帯電話のOS事業に比較的最近参入しました。しかも切り口はソフトウエアが中心です。

するとアンドロイドのオープン・モデルを快く思わない他社から「パテント侵害だ」と訴えられたとき、防戦しにくかったのです。

普通、ハイテク企業はお互いに沢山のパテントを持っており、歴史的な行きがかり上、自分が相手の会社の知的所有権に難癖をつけると、相手も逆に自分の弱みを突いてくるという形で抑止力が働いてきました。

いわば冷戦時代にアメリカとロシアが核弾頭を持ち、お互いに牽制し合ったのと同じ理屈です。

しかしグーグルは核弾頭に相当するもの、つまり携帯電話分野でのパテントが少ししかないために、ボコボコにやりこめられてきたわけです。

いや、グーグルだけでなく、アンドロイドを採用したハンドセット・メーカーまでが「アンドロイドを使った奴はみんな悪い!」と訴訟の対象にされたわけです。これだとハンドセット・メーカーは恐くてアンドロイド事業を続けられません。

アップルをはじめとしたテクノロジー各社は表向きには協同している素振りを見せませんが、実際には「グーグル包囲網」を構築し、機会あるごとにアンドロイドいじめをしてきたわけです。



最近もノーテルのパテントが入札にかけられた際、これを取得すべくグーグルは果敢に動いたのですが、結局このディールはアップル、マイクロソフトなどのコンソーシアムに奪われました。(それにしても昔の宿敵だったアップルとマイクロソフトが協同しているところがセコイですね。)

さらにモトローラ・モビリティの豊富な知的所有権に目を付けた仕手筋、カール・アイカーンが同社の玉集めをし、モトローラ・モビリティに対して「パテント・ポートフォリオを売却しろ」と圧力をかけました。

若しモトローラ・モビリティのパテント・ポートフォリオが分離売却され、それがグーグルのライバルの手に落ちようものならアンドロイドはいよいよ苦しい立場に置かれます。

モトローラ・モビリティは1万7千のパテントを持っており、これは携帯電話分野では最も大きなパテント・ポートフォリオのひとつです。

これがグーグルが今回、積極的に動いた理由です。