アップルのスティーブ・ジョブズがCEOを退きます。

そこでアップルの業績を再点検したいと思います。

先ずアップルの一株当り売上高は下のグラフのように推移してきました。
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2010年にかけて売上高が急増しているのはiPhoneの売上高の計上方法(revenue recognition)を変更したことも一部関係しています。

しかし上のグラフに見るような強烈な成長は単にマーケットシェアを伸ばすという経営戦略によって得られるものではありません。新しい商品カテゴリー、新しいマーケットを何もないところから創造しないとこういう成長を達成することは出来ないのです。

アップルは卓越したビジョンでiPod、iPhone、iPadなど次々に新しいカテゴリーを確立しました。

その結果、同社の一株当り利益は下のグラフのように伸びています。
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また純利益マージンも20%を超えており、ハードウエアへの依存度の高い企業としてはかなり高い利幅を維持しています。
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ROEも今年は30%に達すると見られています。
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さらに無借金経営であり、バランスシートはピカピカです。

次世代のiPhoneはスプリントなどを含めたより多くのキャリアーに採用されるため、引き続き安定的に成長すると思われます。またiPadのバックログも高いです。

これらのことから目先の業績面でのリスクは殆ど無いと言って過言ではありません。

問題はこれまでのような高い成長を維持し、利幅を維持するためには普通の人が考え付かないような新しい商品、新しい市場を提案することが要求されるという点です。

新しいフロンティアを切り拓いて行くことが出来なければ、いずれ売上トレンドは高原を描き鈍化し、マージンは圧迫を受けるでしょう。

「狂おしいほど素晴らしい」商品は委員会(committee)の合議では発想することは出来ません。カリスマ的で独裁的な経営者のガッツある決断によってのみ日の目を見ることが出来るのです。

スティーブ・ジョブズはそういう天才的な事が出来る稀有な経営者でした。従って、「スティーブが居なくなった後でもアップルはOK」と断言することはスティーブの偉業に対する侮蔑であり、投資家の思考停止に他ならないのです。

スマートフォンやタブレットなどのコンシュマー・デバイスのカテゴリーは熾烈な競争に晒される分野であり、過去の栄光やイメージのみで未来永劫までプレミアム・プライシングの製品が売れ続けるような甘い世界ではありません。