
アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)
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★★★★☆(評者)広瀬隆雄
この本は20代前半のうちに読んでおきたい本です。
『アルケミスト 夢を旅した少年』は所謂、「投資の本」ではありません。
この本の主題は自分の夢を追求するというリスク・テーキングの行為に置かれています。
そのリスク・テーキングこそが「自分自身に対する投資に他ならない」という意味ではこの本は「究極の投資本」なのかも知れません。
実際、僕がこの本を手に取るキッカケになったのは著名な投資家、マーク・ファーバーが彼のニュースレター、『グルーム・ブーム&ドゥーム・レポート』の中で強く推奨したからです。
僕がその勧めに従ってこの本を読んだのはかれこれ15年くらい前です。
一読してマーク・ファーバーがなぜこの本を好きか、僕には納得できました。
なぜならこの本の主人公は常に「冒険するか、諦めるか」の選択を迫られるからです。
それから一足飛びに自分の求めているものに辿り着くことが大切なのではなくて、むしろその途中経過、言い換えれば旅路そのものに意味があるという事も本書は教えています。
最近の学生は一流大学を出て、一流企業に勤めて、そこそこやれば勝ち組としてハッピーな老後が送れるに違いないと頭から決めてかかっています。
そしてそんな人生を送ることが自分の夢だと錯覚しているのです。
未だろくに人生経験を積む前から「これが正解だ」と結論を出し、その先入観に縛られて一生を送ることが如何に無意味か、この本を読むとはっと気がつくと思います。
PS: 僕ですか? 僕は若い頃に結構、馬鹿やっています。だから違和感はぜんぜん感じませんでした。