最近、アメリカ社会は「The Winner Takes It All社会」の傾向を一層強めていると言われます。

The Winner Takes It Allとは勝ち組が全てを奪うことを指します。

先週、米国連邦議会予算局(CBO)が「家計収入の分配に関するトレンド 1979~2007年」という題の報告書を提出しました。

それによると近年のアメリカはこの「勝ち組が全てを奪う社会」の傾向が一層強まっていることが浮き彫りになっています。

米国で最も裕福な1%の人々の家計所得は1979年から2007年にかけて+275%増えました。

その一方で中流に属する60%のアメリカ人の家計所得は同じ時期に40%しか増えていません。

その結果、一握りの裕福層がアメリカ全体の富のより多くの部分を支配する傾向が強まりました。

下のパイチャートは五分位数(quintile)による米国の所得シェアを示したものです。
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ここでは先ず調査対象(=アメリカの全家計)を人口で五等分し20%ずつ区切ります。そして低い方から第1五分位(=最下位)、第2五分位、、、第5五分位(最高位)と呼びます。だから第3五分位は中位、つまり 真ん中の所得層を指すわけです。

そして最高位の第5五分位はさらに細かく81~90%、91~95%、96~99%、最後の1%と4つに区分されています。(このグループは赤で囲いをしておきました。)

これで見るとトップ1%がアメリカの富(*)の17%を支配していることがわかります。


なぜこのような不平等が起きるのでしょうか?

所得格差の問題に詳しいコーネル大学のロバート・フランク教授はその一因として社会の情報化を挙げています。言い換えればテクノロジーの進化、社会の構造変化がこのような不平等な所得を生んでいるのだそうです。

これは経済のソフト化などとも密接に関係しており、単に税制の不平等や裕福層の陰謀論だけでは説明がつかないという立場です。

スポーツ選手や映画俳優がすごい報酬を貰うことは昔から起きていました、その現象が他の分野にもどんどん波及しているわけです。

その結果、一般庶民にとってアメリカン・ドリームの実現はだんだん困難になっています。

言い換えれば所得階層の階段を昇ってゆくことは以前より遥かに難しくなっているのです。


(*)=これは税引き後所得を指します。