今日から欧州中央銀行(ECB)の総裁はイタリア人のマリオ・ドラギが務めます。

マリオ・ドラギはイタリアでは「スーパー・マリオ」というあだ名で呼ばれています。

その理由は1990年代にイタリアが通貨危機を経験し、ERM(Exchange Rate Mechanism)から脱落したときにそれを挽回したのがドラギだからです。

ローマで生まれたドラギは10代で両親を失い、その後、奨学金でMITへ行きます。そこでノーベル賞を受けたフランコ・モジリアーニ教授に師事するわけです。

ドラギはイタリア財務省時代、肥大化した公的部門を整理し、経済の15%を民営化しました。

これは当時の欧州では最も大きな民営化プログラムでした。

そのときの八面六臂の活躍ぶりが「スーパー・マリオ」のニックネームの由来なのです。

ところで1990年代の通貨危機の際はイギリスもERMから脱落しています。

イタリアと違いイギリスが今でもユーロを使っていない理由はマーガレット・サッチャーに代表される、ユーロ懐疑派の影響力がイギリスでは強いことが原因ですが、マリオ・ドラギのような優れたテクノクラートに恵まれなかったこともその一因です。

万年低成長で一族支配のビジネスが蔓延するイタリア経済界をなだめすかしながらイタリアを再びユーロに復帰させるのは並大抵の努力ではありませんでした。その過程でドラギは常にマーケットに先回りして改革を打ち出す事の重要さを体得しています。

トリシェ総裁が采配を揮っていた時代のECBは言わばポンコツなキャデラックに喩えられるようなフニャフニャした乗り心地の中央銀行でした。


しかしドラギが総裁になれば「後手に回らない」采配が定着すると予想して良いでしょう。

ただイタリア人であるドラギがECB総裁になってからECBがどんどんイタリア国債を購入したのではシャレにならないという問題があります。

だからECBは当面の間、イタリア国債の買い支えは少し控えるでしょう。

いまちょうどイタリア国債が売りプレッシャーを浴びているのでこれは誠に悪いタイミングです。でも仕方ないですね。