欧州株式市場が急落しています。

その原因は昨日ギリシャが「先日EU首脳会談で決めた包括戦略に関して、ギリシャ国民にその是非を国民投票で問う」と宣言したからです。

パパンドレウ政権がギリシャ支援策をレファレンダム(国民の直接投票)に付す理由は、有り体に言えばそうしない限り、パパンドレウ政権は崩壊し、ギリシャ支援策の条件となっている財政切り詰めは実現見込みが無いからです。

レファレンダムは博打だけれど、若し一縷の望みでこれが賛成多数で可決されれば、パパンドレウ政権はヨーロッパのリーダー達に対して約束した事を果たすことが出来るのです。

世論調査では現在ギリシャ国民の59%はギリシャ支援策の条件となっている財政切り詰めに反対の立場を取っています。

だからこれは「ダメもと」の勝負だと言えます。

さて、欧州の機関投資家は「レファレンダム」という言葉を聞いただけで失禁するほどビビります。

その理由はレファレンダムというカタチで国民ひとりひとりに欧州連合の是非を問うという行為は昔から散々な結果をもたらすケースが多かったからです。

その良い例が「イングランド銀行を破産させた男」、ジョージ・ソロスのポンド売りです。あの時もフランスのレファレンダムを前にソロスが大胆不敵な勝負に出て、まんまと勝利を勝ち取りました。

政府首脳のレベルでは「ヨーロッパは団結しなければいけない」という合意が出来ているのに、なぜ国民ひとりひとりのレベルに降りてくると包括戦略は人気が無いのでしょうか?


それは皆さん自分自身の立場に置き換えて考えてみればわかることです。

たとえば日本の失業率が今の3倍の15%になったら、どうですか?

しかも日本が15%の失業率になったときにどんどん公務員さんがリストラされたら、みなさんはどう思いますか?

皇居前広場に連日デモ行進が繰り出し、生ゴミの回収車が来なくなり、それでも外国政府が「日本はもっと緊縮財政しろ!」と口うるさく注文をつけられると、我々だってキレますよね?

今のギリシャの国民におこっていることは、つまりそういう事です。

先ず下は各国の失業率のグラフですが、ギリシャの失業者がどんどん増えていることに注目して下さい。
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次は政府支出のグラフです。欧州各国はいま支出を切り詰めようと苦心惨憺しています。
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どこの国の政権も崩壊寸前でのたうちまわっているのはこのためです。

日本ではデモ行進も少ないし、国民の不満が炸裂していないのは、まだ切り詰めるところを切り詰めていないからです。

しかしそれは単に「借金で全てが上手く回っているから」可能なのです。

下は政府負債のグラフです。
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なおこのグラフはグロス・ベースです。いま日本の国債の保有者の多くは日本の年金など国内の機関投資家なので、ネット・ベースにすれば「日本の借金は日本人から借りている借金だから大丈夫だ」という議論があります。

それは一見正しい議論ですが、間違っても居ます。

なぜなら国家の借金とは世代間の負担の移転(トランスファー)に他ならないからです。

これが個人の借金なら、借りた人が後で返すことが大前提です。

でも国の借金は借りた人と返す人は(おなじ日本国民だという一点を除けば)別の人たちなのです。

つまり日本では何事も上手く回っているかのような印象を与えている理由は年金などが「ゴミ箱」同然に扱われており、日本国債を据え膳のように強制的に喰わされているからです。

だからギリシャなどの外国の事は笑えないと思います。


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