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NY市場が引けた後の現在(日本時間3日朝9時)、南フランスのカンヌではドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領がG20を目前に控えてギリシャのパパンドレウ首相を呼び付け、国民投票(=レファレンダム)の一件に関して詰問中です。

普段はカンヌ映画祭の会場となるフェスティバル・パレスの会見会場にパパンドレウ首相は単身で乗り込んだのだそうです。

タランティーノ映画も真っ青、ひとつ間違えばお互いの脳天を撃ち抜きかねない絶体絶命の睨み合い状態が至現しています。

ウォールストリート・ジャーナルによるとドイツのメルケル首相はぶち切れした態度で「ギリシャはユーロ圏に残留したいのかどうか?ギリシャ国民ひとりひとりに問われているのはその問題だ!」と言い放ちました。

これは一見、無造作なコメントのように見えるのですが、実はきめ細かいテクを駆使してドイツがギリシャのレファレンダムのアジェンダを操作しているのです。

それを説明します。

いま7割近いギリシャ国民は世論調査によるとユーロ圏に残留したいと考えています

それと同時に6割近いギリシャ国民はいまのギリシャに押し付けられた財政切り詰め目標は厳しすぎると考えています

だからレファレンダムが「いまのギリシャに押し付けられた財政切り詰め目標を受け入れるか、受け入れないか?」という訊き方をすればNOの回答者が増えるのです。

逆にレファレンダムが「ユーロ圏に残留したいか?」と訊けばYESがたぶん勝ちます。

だからヘンな訊き方をしたら、結果がものすごく変わってきてしまうのです。

ギリシャのレファレンダムは憲法第44条に規定されているけれど、その解釈は割とユルユルです。

通常、与党がレファレンダムの動議を提出し、過半数を獲得しなければ実行に移されません。

ギリシャの総議席数は300議席で現在与党の全ギリシャ社会主義運動は153議席を支配しています。
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しかしパパンドレウ首相がレファレンダムの提案をした後で3人の議員が離反しました。

だからレファレンダムの動議が可決されないリスクもあるのです。

このレファレンダムに関する投票が金曜日(11月4日)に控えています。

さらに憲法の規定では「レファレンダムが国家予算に関係する事柄に対する投票であれば5分の3、つまり180票の賛成を必要とする」と規定されています。

レファレンダムの言い回しが決定的な重要性を持つ理由はそこにあるのです。

11月4日の議会投票までにレファレンダムの言い回しが詰められる事になります。

この言い回しが「いまのギリシャに押し付けられた財政切り詰め目標は厳しすぎる」という、現在のギリシャ国民の不満を直接問題にする表現になれば、180議席の賛成が必要になるのでレファレンダムそのものが却下される可能性もあるわけです。

冒頭で言及した、メルケル首相の発言が極めて周到な計算の上でなされていることがこれで皆さんにもお分かり頂けると思います。

またレファレンダムが効力を発するためには有権者の40%以上が投票に参加する必要があります。




若しレファレンダムが実行に移される場合、12月4日か5日が本投票日になるそうです。

若しレファレンダムの言い回しが単に「ギリシャはユーロ圏に残留すべきか?」という問い掛けなら、レファレンダムは楽勝でYESになる可能性もあるのです。

その場合、ギリシャがユーロ圏に残留するということと、財政切り詰め目標の厳守は切っても切り離せない事だという暗黙の了解がギリシャ国民や議会で醸成できるかどうかがカギとなるわけです。