イタリアのシルヴィオ・ベルルスコーニ首相の政党である自由国民党(Popolo della Liberta :PdL)から「脱藩者」が続出しているらしいです。

金曜日までに6名ほどの議員が離反しましたが週末になってもこの流れは止まっていないようです。

イタリアは二院制で米国の下院に相当するのが代議院(Chamber of Deputies)、上院に相当するのが元老院(Senate of the Republic)です。

ベルルスコーニ首相の自由国民党は北部同盟(Lega Nord Padania)ほかの政党と連立政権を形成しています。この状態は代議院も元老院も同じです。

なかでも代議院はベルルスコーニ連立政権の過半数のマージンが薄く、10月の時点での議席数は316とギリギリ過半数を守る状態でした。なお代議院の定数は630議席です。
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元老院は代議院に比べるとベルルスコーニ連立政権のリードは安泰だと言われています。
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今回、代議院から6名を超える議員が離反したことで「ほぼ間違いなくベルルスコーニ政権は過半数を失った」と言われています。

イタリアは今後年金改革をはじめいろいろな財政緊縮策を成立させなければいけません。しかし政治がこのように「漂流」し始めたので投資家の信頼が揺らぎ始めています。

そこでベルルスコーニ政権は国際通貨基金(IMF)に「定期的に我が国の財政改革の進捗状況をチェックして下さい」と依頼しました。

これは自分で統治能力が無くなってしまったのでIMFに「お目付け役」を依頼することで投資家を安心させようとするポーズなのです。

なおイタリアは今の時点ではIMFに「金貸してくれ」と頼み込んでいるわけではありません。



IMFのしきたりとして支援融資を実行した相手にはコンサルティングというカタチでいろいろ監視、指導するわけですけれどお金を貸していない相手に対してはモニターしません。

だからIMFに「お目付け役」を依頼するのは異例の事と言えます。

さて、イタリアの状況とギリシャの状況では根本的に異なる事があります。

ギリシャの場合、既にトロイカ(欧州連合、欧州中央銀行、国際通貨基金)からの支援を受けており、スケジュールに基づいて定期的に「ミルク補給」を受けている状態です。

今回、ギリシャ政府がこの「ミルク補給」の契約的根拠となっているギリシャ支援策を議会で承認することが遅れているので、パパンドレウ首相が「国民投票に訴える」とか言いだすなど、いろいろドラマがありました。

結局、国民投票は引っ込められ、現政権は議会の信任投票でなんとかサバイバルすることが出来ましたが、未だ連立政権は形成出来ていませんので予断は許しません。

若しちゃんと連立政権が樹立できなければ12月分の支払い、つまり「ミルク補給」は停止になります。その場合は「ハチャメチャなデフォルト」が起こる危険性があるのです。

翻ってイタリアの状況を見るとイタリアは未だ自力で国債を発行し、買い手を見つけてくる事がかろうじて出来ています。だからギリシャのような時限爆弾のような状況ではないのです。

それを断った上で敢えて言うなれば、10月28日にEU首脳会談で包括戦略が決定しましたけれど、その好ニュースにもイタリア国債はぜんぜん反応せず、どんどん売られているのです。

下のグラフでイタリア国債の金利だけが包括戦略決定後も上昇(=価格は下落)していることに注目して下さい。
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イタリア経済はギリシャの7倍の規模ですからイタリアが逝ったらいかにドイツとはいえこれを救うことは至難の業です。