金価格が綺麗な上昇を描いています。

まず日足のチャートです。
gold da

次が週足のチャートです。
gold wk

特に週足での長期上昇トレンドには全く綻びがありません。

ここ数日の金価格は欧州中央銀行(ECB)の利下げのニュースに勇気づけられて買われています。

就任したばかりのマリオ・ドラギ総裁がインフレ・ファイター(=インフレを予防する番人)としての評判を危険に晒してまで、いきなり利下げに踏み切ったのにはわけがあります。

それはイタリアの政局混迷が一層深まっているからです。

昨日、イタリア代議院で前年度予算の決算案が無事可決されました。

野党議員を中心に棄権が出たことが可決を助けたのです。

しかし与党のベルルスコーニ陣営は630議席中308票しか獲得できず、過半数の316に達しませんでした。

これはベルルスコーニの連立政権がレームダック化したことを意味します。

止む無くベルルスコーニ首相は2012年予算成立後、退陣する意向を表明しました。

ひとことに2012年予算といっても、これが成立するまでには未だ時間がかかります。

だからベルルスコーニ辞任と言っても彼の名前が新聞の見出しから消えるのは遠い先の話です。

ベルルスコーニ退陣後は:

1.暫定政権が樹立される(=野党はこれを望んでいる)
2.総選挙が実施される(=与党はこれを望んでいる)

という2つのシナリオが考えられます。

そのどちらも実施し結果が判明するまでにはかなりの時間を要します。


つまりイタリアの政治は牛歩でしか進展しないということです。

その一方でイタリア国債の方は風雲急を告げています。既に10年債は7%の大台を突破し、これは赤い警戒警報のサイレンが「ウーウー」鳴り始めたのと同じです。

ヨーロッパがいますぐにできる応急措置は何でしょうか?

それは欧州中央銀行による利下げです。

現行の1.25%という政策金利では通貨ユーロが強くなりすぎます。

イタリア国債の孕む根本的な問題とは「あの国は万年低成長だ」というイメージが定着してしまっていることにあります。

幸いイタリアはギリシャと違って製造業の基盤は或る程度しっかりしています。またスケールはありませんけど品質やデザインの面で国際的に競争力のあるラグジャリー・グッズなど、職人芸的な製品、工業製品も作っています。

だから今はユーロを思いっきりユーロ安に導いてイタリア経済に酸素マスクをかぶせる必要があるのです。

若しイタリアが逝ったら、つぎに政治的に苦しくなるのはドイツのメルケル首相であることを考えれば、ECBのアグレッシブな連続利下げによる「ガス抜き」は待ったなしの処方であることが理解できると思います。

そして連続利下げの狙いは自国通貨の意図的デバリュエーション(=割安誘導)にあるわけです。

Market Hackの読者なら今更説明し直すまでもないと思いますが、競争的デバリュエーションは金価格にとって理想的な投資環境です。